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組織活性へ全力実践−民団中央 2003年度基調(03.04.02)
地方参政権…さらに粘り強い運動展開

「民族歴史資料館」の設立推進
「民族財産保全委員会」構成も

展望

 イラクの完全武装解除とフセイン大統領の逐出に強い意志を示してきた米英は、ついに対イラク戦争に突入しました。当初、短期間での終結を目指していた米国は、開戦1週間後には長期戦も辞さないという対応に変化しています。戦争が長期化すれば、原油価格の急騰などにより世界経済への影響や国際的な政治的対立によって緊張が激化する恐れがあります。

 このような渦中に昨年末から突然浮上した北韓の核問題が東北アジアの緊張を新たに非常に高めています。北韓は核開発意思表明にともなう米国の重油供給中断措置に対抗してIAEA(国際原子力機関)要員の強制退去、NPT(核不拡散条約)脱退宣言、そして寧辺核施設再稼動宣言などで作為的に緊張状態を造成しています。さらに最近では連続的なミサイル発射実験等で韓国と日本に対する威嚇的態度まで見せています。もちろん北韓は米国との直接交渉で金正日体制の保障とエネルギー問題の解決を一挙に解決することを米国に要求していますが、米国は応じていません。しかし、北韓の核はまず韓国が第一に威脅を感じている問題であり、近隣の日本、中国、ロシアに影響をおよぼしていますので、米国を含む関連国会議で平和的へ解決しなければならない問題です。いま現在米国は、あくまでも外交的な努力で北核問題を解決するという立場を表明していますが、北韓が挑発的な姿勢を継続すればイラク戦争と連動して韓半島に新たな戦争の暗雲が濃くなるでしょう。

 さる2月25日、イラク問題と北核問題で緊張が高まりつつある状況の中で盧武鉉大統領が第16代韓国大統領に就任しました。また、全国民が参与する政治を通じ国民和合を成し遂げるという意味から「国民参与政府」として、新しく出帆しました。新政府は、金大中前大統領の対北韓包容政策を継承し、「韓半島で戦争は絶対に起こしてはならない」という強い意志を表明しています。

 韓半島の平和定着のためには、なによりも北韓の核開発を阻止しなければならず、そのために米国と日本、そして中国とロシアとの意見調整を通じて、新政府が北核問題の解決に指導力を発揮しなければなりません。日本社会もまた、米国の対イラク戦争、北韓の核問題のために危機意識が高まっており、まかり間違えれば日本社会の保守化傾向に拍車が加わる可能性があります。さらに、経済不況の継続と経済改革の遅延による混乱が日本政局の不安までもたらすかもしれない状況です。

 私たち同胞社会もまた、そうした影響で不安と困難に直面しています。特に朝鮮総連は、北韓当局による日本人拉致問題、北韓の核開発問題等のために収拾のつかない混乱におちいっております。総連系金融機関の破綻と再建に苦しんでおり、総連同胞の総連組織離脱者はますます増え、彼らのなかで日本帰化者が急増しています。このような流動的な同胞社会の支えになる私たち民団社会も、信用組合、民団組織を問わず、まだ彼らを十分に受け入れる準備ができていません。

 内外与件が厳しい時にこそ、本団は在日同胞全体の指導母体としての責務と指導性を発揮しなければなりません。このために、今年度は次のような課題に全力をあげて取り組み、実践していかなければなりません。

重点事業

1 地方参政権運動の継続推進

 参政権運動が、すでに10年目入りました。その間、全国各地で参政権獲得のために粘り強い努力をしてきました。一時(2000年11月)は法律案が採択直前までいったこともありましたが、2001年の小泉政権の登場と共に自民党執行部が参政権付与に反対しはじめ、再審議もできないまま継続審議案件として今日にいたっております。また日本社会の状況も、教科書問題、靖国神社参拝問題などで保守回帰現象がめだつようになり、さらに北韓による日本人拉致事件と多発する外国人犯罪などのため、永住外国人に対する好意的な関心が低くなっています。そのうえに、北韓の核問題と最近の北韓ミサイル発射実験などで日本の安全保障問題が主要課題になることによって、永住外国人参政権問題がますます後まわしにされております。

 今年の通常国会(第156回)に再び継続審議案件としてもちこされましたが、予算関連法、有事立法関連法、個人情報保護関連法などが山積しているため、参政権法案がいつ審議・採択されるか不透明な状況です。

 このような厳しい与件の中でも、本団はこれまで蓄積してきた運動を土台に、さらに一層粘り強い運動を展開していかなければなりません。

 まず、日本国会に今一度、早期立法化促求活動を推進すべきです。与党3党に対しては法案審議再開の時期を操り上げ、採決するよう努力していくべきであり、慎重派または反対派議員らには理解を促求する要望活動を、持続的に推進していかなければなりません。

 次に、新しく出帆した本国政府と本国の国会議員らに支援と協助を要請していかなければなりません。特に本国国会に対しては「在韓長期滞留外国人に対する地方参政権付与」立法化を速やかに実現するよう強く促求していかなければなりません。

3番目に、「永住外国人に対する住民投票権付与」を拡大していくようにしなければなりません。日本の市町村合併問題に対する住民投票条例制定時に、地域住民として堂堂と意思表示をする住民投票権を付与するように運動を展開しなければなりません。

 これは参政権と直結するものではありませんが、地域住民として認定されることなので、地方自治体に対する参与の道を開くものです。これはまた、参政権獲得のための雰囲気醸成に良い影響を与えるものです。

 4番目に、地方議会に対する要望書採択運動もまた持続的に推進し、日本の全地方自治の50%以上が私たちの要望書を採択することによって、日本社会の世論高揚と日本国会に対する影響力を高めなければなりません。情勢の推移によっては、全国的な規模の大衆活動も積極的に展開していかなければなりません。

2 民族金融機関の支援

 昨年7月に私たちの信用組合が破綻組合を完全に引き受けました。そしてペイオフの完全実施が2005年4月に延期されることによって一息をつくようになりました。しかし、いくつかの組合を除いては金融機関として存立し発展するには、まだ体質が強くありません。したがって、韓信協傘下組合は団結して相互協力しながら、それこそ骨を削る自助努力をしなければなりません。

 まず、各信用組合は該当地域の民団、商工会議所と緊密な協助機関である「同胞金融支援地域協議会」を「実質化」するよう努力しなければなりません。情報公開を土台に預金増額問題などを具体的に同胞たちと協議して同胞たちが「参与」することができ、支援を受けることができるように努力しなければなりません。

 次に、日本金融当局の政策方向のひとつである地方銀行を中心とした地域金融機関の再編方針を勘案して、私たちの信用組合も中・長期的な観点から再編統合を推進し、いつかは統一的な機能を発揮できる金融機関を樹立していかなければなりません。

 3番目に、このような韓信協傘下の自助努力を後押しするように本国政府の積極的な財政支援を要請していかなければなりません。本国政府の財政支援は、ただ私たちの信用組合の公信力を高めるにとどまらず、日本金融当局の私たちの信用組合に対する支援態勢にも影響を与えるため、一層重要です。

 以上のような努力を、韓信協、民団、商工会議所がひとつになって具体的に実施することにより、民族金融機関の健全化、同胞経済の再生の契機を作っていかなければなりません。

3 組織活性化

 組織の活性化は、いうまでもなく同胞たちと密接な関係にある支部の活性化を通してのみ実現することができます。

 現在、支部の現況は団員数が減り、団費がおもうように徴収されないため支部財政が厳しく、支部財政が厳しいので活動を十分にできない状況にあります。これを、すこしでも克服して活性化するためには、同胞たちの日常的な要求に基づく活動を展開しなければなりません。たとえば、団員へのサービスの提供、旅券申請、戸籍整理などに対する迅速な処理をはじめ、老人介護問題に支部会館を利用した「デイサービス」や、同胞たちの文化的な要求、研修、講習などの開催、オリニ土曜学校、オモニ教室など、支部の條件にあうように活動を組織していけば、支部活性化に助けとなるでしょう。

 まず、今年はこのような支部の特性、特色を生かして活動する「私たちの支部、私たちの自慢運動」を全国的に展開していきます。

 次に、組織研修を強化していかなければなりません。一般的な情勢と当面課業に対する意思統一と行動統一を期する全体研修と共に支部幹部、要員研修を体系的に行うことによって活動要員の確保と能力向上を期しなければなりません。

 3番目に、各地方は自発的に「組織整備委員会」を改編し、各地方組織の機構と運営、それに機能を再検討して支部の統合・再編成を含め、その地方の実情に合う組織再構築を図るようにしなければなりません。そして、民団自体が元来持っている非営利的で公益事業的な性格を生かしながら生産性をあげ、効率的な機能発揮をできるように改革を推進していかなければなりません。

 そうして21世紀初頭に同胞の生活と要求にふさわしく、多くの同胞たちが「参与」する民団に変革していかなければなりません。

4 民族教育・文化振興

 本団の民族教育方針は、以前から、数的には多くないが民族学校教育を根幹としながら、オリニから成人に至るまで全同胞を対象とした民族社会教育に重点をおいてきました。

 今年は、まず、講座制「民族大学」を再活性化し21世紀を生きていく3・4世を対象に、社会変動に積極的に対応する新しい内容と教授陣で構成する講座を新設すると同時に、民団インターネット、ホームページを活用した新しい方法も試みていきます。また「オリニ土曜学校」の全国的な展開と2回にわたり実行した「オリニ・ジャンボリー」を今年も開催し定例化するよう努力します。

 2番目に、日本の公教育における民族教育の確立に努力していかなければなりません。すでに大阪、兵庫、京都、神奈川など57カ所では「在日外国人教育指針」が採択されており、制度化の努力をしています。

 同胞子弟の90%が日本の学校に通っている現実を勘案する時、民族的な自覚と自負心を持って成長させるために、また日本公教育の開放のためにも民族教育の確立が絶対に必要です。今年からは本格的に各都府県の教育当局に民族教育権確立のための要望活動を積極展開していかなければなりません。

 3番目に、「民族歴史資料館」設立を推進するよう努力します。在日同胞が日本社会で自負心を持って生きていくためには、自分たちの歴史、根(ルーツ)を知らなければなりません。在日同胞の今日があるまでの苦難の歴史と苦闘の足跡が、ますます散逸されています。これを半恒久的に保存して3・4世の歴史教育、社会教育の現場になりうる歴史資料館の建立を急がなければなりません。

 このため「在日同胞歴史資料調査委員会」を構成して調査、資料収集活動を展開するよう努力しなければなりません。

 4番目に、在日同胞の民族文化振興に尽力しなければなりません。在日同胞の日常生活の中に民族文化が染み込み、ライフスタイルとして民族文化が「生活化」されなければなりません。

 つまり、食文化から音楽、踊り、衣裳などと冠婚喪祭などの伝統的な民族的な文化が、生活の中で自然に表現されなければなりません。そのためには「10月のマダン」を活性化し、素朴な在日同胞の「文化的表現」のマダンに発展させていかなければなりません。また、昨年から試みた「MINDAN FESTIVAL」を内容と方法を拡充して実施しなければなりません。このような教育、文化活動を通して民族主体性確立の契機になるように努力していかなければなりません。

5 朝鮮総連同胞と和合・交流促進

 2000年の「6・15南北共同宣言」発表以後、本団は総連中央に対して在日同胞と南北問題に関して全在日同胞に責任を負うことができる実質的な対話をしようと提議しました。肯定的な回答を、今日この時刻まで得られていません。

 だが、全組織に呼びかけて総連同胞との交流を通じた和合を推進してきました。最近2年間を通して約170カ所で5万人に近い同胞たちが花見、敬老会、親睦会等を一緒に行っただけでなく、日本地方自治体に対する高齢者給付金支給要望、障害者に対する給付金要望など、総連地方組織と本団地方組織が共同歩調で一緒に要望活動もしてきました。

 もちろん、朝鮮総連と総連同胞たちが日本人拉致問題、北韓の核問題などで難しい状況に置かれているということは、私たちもよく知っています。このような時にこそ、「在日同胞の立場」から在日同胞の未来のために和合と交流を一層活発に展開していかなければなりません。また、朝鮮総連中央と民団中央本部との対話も常設的にできるように努力していかなければなりません。さらに、最近、総連と日本政府が行った非人道的ないわゆる「帰国運動」の犠牲者である北送同胞たちが北韓を脱出して日本に戻ってきています。

 私たちは、北送反対闘争を激しく展開してきた歴史がありますが、脱北者たちに人道的な、同胞的な次元で暖かい支援をしていかなければなりません。

 南北関係が北韓の核・ミサイル問題で険悪な緊張状態にありますが、本団は引き続き彼らと対話し交流しながら在日同胞社会の統一を指向して持続的な努力を傾注しなければなりません。



 このほかにも本団は多くの課業を抱えています。1・2世たちが血と汗を流し築いてきた民族財産をどのようにすれば3・4世たちに完全に引き渡すことができるか。そのためには「民族財産保全委員会」を構成して暫定的な法人化を推進するよう努力します。

 また、同胞社会も日本社会と共に高齢化、少子化が進んでいます。このために「在日同胞福祉協議会」を構成し、地方の実情にあわせ「老人ホーム」、「老人会」、「デイサービス」の実現に協助していかなければなりません。

 そして21世紀委員会の提言に基づきすでに具体化している「全国的ネットワーク」構築のために中央と地方、地方と支部、団員DB化などを促進し、本国と海外同胞とのネットワーク構築にも引き続き力を注がなければなりません。



 2003年、米国の対イラク戦争、北韓の核開発問題などにより韓半島の緊張が高潮するなか、日本社会の長期不況、保守回帰現象など、本団の与えられた課業遂行に厳しい情勢と与件が予測されます。そうであればなおさら、本団を中心に全団員が団結して課業達成のために持続的な努力を一緒にしていかなければなりません。

(2003.04.02 民団新聞)
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