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サラムサラン<22> 京城スキャンダル
 KBSワールドが3月から4月、「京城スキャンダル」という連続ドラマを放送した。既に何度目かの再放送になるが、「日韓併合」100年ということで、植民地時代が舞台のこのドラマが再浮上したのかもしれない。

 私は韓流ドラマのオタクではないが、このドラマに出会った時には、腰が抜けるほど驚いた。古い時代を扱っているにもかかわらず、そのとりあげ方、描き方が、革命的なほどに斬新だからである。15年前の韓国ならば、あり得なかった発想のドラマなのだ。

 その新しさは、タイトルにも如実に現れている。「京城」という名は、日本が植民地の都市に与えた屈辱の名であるとして、解放後、長くタブーとされた。「ソウル(都)」という韓国固有語による晴れやかな名が、誇りとともに口にすべき正統の呼称なのである。

 にもかかわらずこのドラマは、ソウルという町がかつて京城と呼ばれた時代のパトスを、負の歴史を逆転させるくらいのパワーで、色鮮やかな万華鏡に仕立てあげた。

 舞台は1930年代、モダニズム輝く京城。モボ、モガが往来を闊歩し、カフェがにぎわい、大衆ジャーナリズムは町のスキャンダルを書きたてる。植民地であっても、そこには韓国人の暮らしがあり、愛があり、冒険がある。日本の圧制のもとにただ萎縮し、奴隷のような身に甘んじていたわけではないのである。

 京城一の美人で知られた妓生が、実は独立運動の要となる人物で、京城一の色男を誇る主人公が京城一の堅物女に恋をし、やがては愛を通して独立運動に目覚めてと、物語はツボを押さえて、スリリングに展開する。しかも基本的にはラヴコメディーであり、時に歌って踊ってというミュージカル的なシーンまであって、サービス精神旺盛だ。

 日本の植民地統治を正当化するようなこととはおよそ次元を異にする。郷愁でもない。負の過去に対する心理的トラウマを抜け、悲劇一色に塗られがちなこの時代を、発想の転換で描こうとした意欲は注目に値する。経済発展など国が力をつけたことで、過去を見つめる眼差しも微妙に変わってきているのだろう。

 もっとも、カン・ジファン始め、人気俳優の熱演をもってしても、ドラマは、韓国では期待されたほどの人気が出なかったと聞く。多分、新しすぎたのだろう。

 あくまで、大衆向けのテレビドラマの話ではある。が、だからこそ、韓国人の意識や社会の変化が如実に読みとれる。負の過去を超克しようと、心の壁がひとつ越えられたように思うのは、私だけであろうか。

多胡 吉郎

(2010.4.28 民団新聞)
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