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<民論団論>「遊就館」から見た「靖国」
岩波書店編集者・佐藤俊広

侵略戦争礼賛で一貫 姑息な参拝正当化の論法

 10月17日、小泉首相は内外のきびしい批判にもかかわらず、靖国神社を参拝した。秋の例大祭の初日、首相になってから5度目の参拝である。例大祭は、靖国神社にまつられている約247万人の戦死者を「慰霊顕彰」する行事だが、この日は、27年前、東条英機らA級戦犯が合祀された日でもあった。

 本殿には入らず記帳もせず、拝殿で賽銭を投げ入れるかたちでの参拝で、直後に「今までと同様、一人の国民として参拝した」と語った。しかし、自民党総裁選挙で「どんなことがあろうとも8月15日に必ず参拝する」と公約した2001年、前倒しして参拝した8月13日には、「総理大臣の小泉純一郎が心をこめて参拝した」と明言していた。

 事実や議論の内容をすり替えることは今に始まったことではないが、姑息な論法でその場をしのぐのが小泉流の政治手法だ。9月30日大阪高裁での判決「小泉首相の靖国参拝は憲法の政教分離原則に反する」を意識したのか、できるだけ公的さを薄め私的なものであることを演出したかったようだが、こんなことが通用するはずがない。

 中国・韓国両政府から抗議の声があがったのは当然で、民団中央本部は、「日本軍国主義の精神的支柱の役割を果たしてきた靖国神社へ小泉首相が参拝することは、小泉首相がどう弁明しようと、日本が過去の侵略戦争を真に反省しておらず、むしろ正当化している行為と見なされても致し方ない」という談話を発表した。

 先日初めて靖国神社の「遊就館」を見に行った。1882年に軍事博物館として開館した遊就館が、大増築して現在のようになったのは2002年。

 玄関ホールには「零戦」や大砲が展示されているものの、ガラスから陽光が差しこみ明るく、戦争とはほど遠い感じ。売店には『遊就館図録』や戦争写真集、海軍帽やプラモデルなど「靖国グッズ」が販売されている。

 2階には、靖国神社創設、日清・日露戦争、満州・支那事変、(階段を降りた1階に)避けられぬ戦い、大東亜戦争、終戦、靖国の神々、といった各部屋ごとに、映像、音響、パノラマで見せるやり方で戦争をたどっていく。

 しかし、ここでは「血のにおい」がまったく感じられない。侵略された中国や朝鮮でどんなことが行われたのか、また、沖縄戦、広島・長崎の惨禍、米軍による空襲など、戦争で苦しめられた民衆の姿はほとんどなく、軍人中心の戦争史がつづく。

 2階映像コーナーで上映されている「私たちは忘れない」(英霊にこたえる会製作)では、「極東の小国・日本が大国を相手に立ち上がった‥これは国家と民族の生存をかけ、一億国民が悲壮な決意で戦った自存自衛の戦争だった」と絶叫調のナレーション。すべてが大東亜戦争礼賛の立場にたった展示なのだ。

 唯一、最後の「靖国の神々」で、戦地に飛び立つ特攻隊員が家族に宛てた遺書を読んだとき、どのような気持ちで書いたか、その思いに馳せ、私は心を動かされた。靖国問題を考えるうえで、一度は行かれることをすすめたい。

(2005.11.30 民団新聞)
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