均衡発展と革新支援 経済協力開発機構(OECD)は19日、「産業政策と地域発展‐韓国からの教訓」と題する報告書を刊行すると同時に、パリのOECD本部でセミナーを開き、「韓国の地域産業育成策が開発途上国のよい手本になる」と評価した。セミナーにはポーランドやベトナムなどの政府関係者および研究者が参加し、韓国の地域発展事例について高い関心を示した。 OECD報告書 高い評価 途上国が学ぶべき点としてOECDは、▽地域発展政策を効果的に下支えするシステムの構築▽クラスター(集合体)育成の観点から見た地域産業政策などを提示した。 韓国は97年の金融危機を契機に、発展戦略のパラダイムを大きく転換せざるをえなかった。それまでの量的拡大をめざした成長優先から、地域間の均衡とイノベーション(革新)の促進に重点をおく政策に変わった。 従来の「国土総合開発計画」から「開発」を削除し、「第4次国土総合計画」(2000〜20年)に変更したのも、地方の自立発展と国土全体の均衡発展に主眼をおくことを示すものだ。この転換の成功が評価された。 地域主導による地域イノベーション・システム(RIS)の構築を政策課題として掲げた。地域格差を示す指標として、所得そのものよりも、地域経済発展の原動力となる成長源泉としての研究開発資源をどの程度備えているかに力点をおいた。 韓国の地理的条件を踏まえ、国際交流を前提とする開放的なネットワーク型国土構造の形成をめざし、主要産業都市を連結した新産業地帯網の構築、自由港地域や外国人投資地域などを設置した。また、テクノパークやベンチャー団地、企業・大学・研究所による産・学・研連携によるクラスター化を地域産業の発展戦略として推進した。大田広域市の大徳研究団地が代表例としてあげられる。 東海、黄海、南海や中部、南部内陸など10大広域圏を設定し、特定地域に研究機関を集中させる、「知的クラスター」を形成した。地域特性を生かした個性ある発展をめざすため、▽首都圏▽地方都市▽農漁村ごとに発展戦略を掲げた。つまり、▽首都機能の地方分散▽地方中小都市の機能専門化▽農水産業の高付加価値化を推進した。 選択と集中により短期間に地域発展の成果をあげた点が高く評価された。重要なことは、クラスターを構成する諸機関の構成員みずからの発意で形成する点だ。中央政府の役割はあくまでも環境整備を側面から支援するだけである。 セミナーに参加した知識経済部関係者は「これまで韓国の経済発展全般について国際的関心が強かったが、地域発展の成果についてはあまり知られていなかっただけに、今回の報告書は韓国の地域発展政策を世界に知らしめると同時に、この経験を開発途上国と共有しうる契機になる点で意義がある」と語った。 (2012.6.27 民団新聞) |