開城工業団地に滞留中だった7人の韓国側関係者が3日、全員帰還し、工団には韓国側関係者が1人もいない状況となった。開城工団は2003年6月の着工から10年目、04年12月の稼働から9年目に完全に停止した。08年7月の金剛山観光中断や韓国の対北韓制裁などで南北関係の冷却状態が続くなか、唯一の協力事業が、事実上閉鎖状態となった。 北韓は4月3日、恒例の韓米合同軍事演習を口実に、韓国側関係者の開城工団立ち入りを一方的に禁止し、9日には北韓労働者約5万3000人全員を出勤させず、工団は操業停止に追い込まれた。北側は、韓国政府が25日に提案した「工団勤務者の人道的問題解決と工団正常化のための責任ある南北当局間実務会談」の開催を拒否。このため韓国政府は翌26日に工団に残っていた韓国側人員(178人)の全員撤収を決めた。 撤収に関連した実務協議で3日、北側が清算を要求していた労働者の3月分の賃金720万ドル、企業所得税400万ドル、通信料や廃棄物処理費、その他手数料170万ドルなど計1300万ドルを支払うことにより、関係者全員の撤収が完了した。 統一部当局者は同日、「韓国側人員の早期帰還が重要だとの判断の下、北韓が要求した未払い金を支給し、入居企業に確認後、事後精算することにした」と説明している。 北側は4月分の賃金120万ドルも支払うよう求めたが韓国側は受け入れず、あらためて協議することになった。 実務協議で、韓国側は工団入居123社が工団に残している製品や原材料の搬出問題について言及したが、合意には至らず、この問題を追加で協議していくことにした。123社が残してきた物品を合わせると約3000億ウォン分になるという。 開城工団について、政府は「閉鎖」という言葉を使わず「暫定中断」と表現している。金炯錫統一部報道官は3日、「開城工業団地が稼働を始めた04年以降、初めて工団の運営が暫定中断したが、さまざまな形で私たちの要求を貫徹していく」と明らかにした。政府は、工団への電気・水の供給を停止する問題については時間を置いて検討する方針だ。 柳吉在統一部長官は6日の国会外交統一委員会で「開城工団を維持・発展させるという政府の立場に変わりはない」と力説し、「北韓への対話の提案は有効であり、その意思を北側にも伝えた」と説明した。 (2013.5.8 民団新聞) |