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在日初の最高賞 建国高・伝統芸術部
伝統芸術部員と車千代美教諭(中央右)、朴正徹教授(同左)
在日初の最高賞 白頭学院建国高校・伝統芸術部
私たちプンムルで自分探し


 7月29日から8月2日まで、三重県で開かれた第33回全国高等学校総合文化祭(全国高総文祭みえ’09 )の郷土芸能(伝承芸能)部門で、最高位にあたる文化庁長官賞・優秀賞を受賞した白頭学院建国高等学校伝統芸術部。在日チーム初の文化庁長官賞の受賞という快挙を成し遂げた。プロとみまがう迫力ある演技に、高校生であるということを忘れてしまう。8月30日に東京の国立劇場で開かれた優秀校東京公演を前に同27、29の両日、韓国中央会館(東京・港区)で行われた公開練習で、伝統芸術部の指導にあたってきた車千代美教諭に聞いた。

《大阪の文化》を誇りに
民族の情感たぎらせ

 「今の一回で疲れたの? これでいいの!? ソンセンニムは恥ずかしい。これでは見に来られた方たちに申し訳ない。1回ずつ本番と思ってやって下さい」

 伝統芸術部で民族舞踊の指導を行っている車千代美教諭の檄が飛ぶ。息を切らし、額に汗をにじませる9人の部員たち。その様子をOB、OGたちが見守る。

 文化庁長官賞を受賞した「プンムルノリ」は、農民たちが神が降りた神木に、五穀豊穣や多幸を願うために行ってきた祈願。白い韓服姿の女生徒たちが、神木に新しい白布を結んでは解くというコプリを行い、神の心を動かすために一心不乱に踊り続ける。力強い打楽器演奏に、否が応でも感情は高揚していく。

本格的な技術 貪欲な吸収力

 部員は中高生合わせて20人。大半は学校で行われている伝統芸能の活動などを通して興味を持ち、伝統芸術部で本格的に高度な技術を身につけたいからと入部した。「吸収力はすごい、吸い取り紙のようです。なぜ、そんなに貪欲になるのかという気持ち」

 部員たちは毎日、夜遅くまで練習する。「遊んだという話を聞いたことがない」と車教諭。

 なぜ、部員たちはそこまで熱中するのか。「自分自身の韓国性や民族性を探すために、とどまるところがないくらいに求めています。本当は歌も踊りもいろいろしたい。それは自分は韓国人であるということに、まだ納得がいかないからです」

 だが民族学校といえども、自分を在日として意識している生徒たちは決して多くない。「私はそれが少し悲しい。だからもっと自分自身を見つめろ、自分たちのやる伝統文化の水準をあげて、広めていくことの大切さを話します」。部員たちのなかに、自分たちは文化を広めていく存在、だから恥ずかしい演技は見せられないという気持ちが芽生えている。

地域行事でも「すごい」の声

 大阪の四天王寺ワッソや地域の行事などにも参加して活動している。日本人市民の彼らを見る目が「かわいい」から「すごい」に変わってきた。 「子どもたちは自分自身の力で、自分たちを高めている。それは大変な努力」。足や首が故障することは多い。プンムル部門の指導にあたる国立韓国芸術総合大学の朴正徹教授も、徹底的に体に覚えこませる。

 07年、第16回世界サムルノリ競技ハンマダンが韓国で開催された。白頭学院建国中高等学校伝統芸術部が創作部門で、在日チームとして初の「大統領賞」(第1位)を受賞。また昨年の全国高総文祭群馬大会の郷土芸能部門で、伝統芸術部の高校生たちが出場4年目にして総合3位の優良賞を受賞した。

 このとき車教諭は和太鼓で参加した大阪の高校教諭から、文化祭に「風穴を開けたね」といわれた。部員たちに弾みがついた。普通の高校生が体験すること以上に、貴重な経験を積んでいることを自覚している。

 今回の文化庁長官賞の受賞は、車教諭にとっても驚きだった。「壁はあるものと思っていた」。郷土芸能部門の参加要項に「地域の文化活動として広く住民に親しまれ、地域に根ざした伝承芸能であること」という一文が記されている。「これが在日の文化になっているのかと。日本の人たちが韓国の伝統芸能を認めてくれて、大阪の地域で根ざしている文化だと認めてくれた」

「文化知って悩み解消を」

 部長の金佳奈さん(17)は、「在日でもこんな素晴らしいものをやっているということを知ってもらいたい」、副部長の洪沙姫さん(17)は、「拍手をもらえると本当に嬉しい」と明るい。

 「自分は何も知らないのに、自身を差別して卑下してきた。文化を知ること、広めていくことは自分の向上にもつながる」。車教諭も若いころ、出自に悩んできた。そこから救ってくれたのは、高校生のときに見た韓国舞踊との出会いだった。

 「自分のように悩む子が1人でも減るように、子どもたちにチャンスをあげたい」

(2009.9.2 民団新聞)
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