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ポジャギを通して韓日の交流を深めたいと、2005年からスタートした「日韓友情のポジャギ」展。3回目を迎えた今回は、8月の慶州を皮切りに、来年8月までに東京、福岡、大阪、ソウル、済州道の6地域で開催していく。初の試みとしてコンセプトを設けて作品を募集したほか、これまでの作品を各会場でチャリティー販売し、収益金をユニセフに寄付する。東京では2日から6日まで、港区の韓国文化院ギャラリー(韓国中央会館8階)で開かれた。
日本で浸透が刺激
伝統文化への誇りを呼び起こす
今回は韓国伝統色の「五方色(オバンセック)」をコンセプトに赤、青、黄、白、黒の5色のなかから1色を選んで作品を制作してもらった。この五方色にこだわったのは、展示会を通して韓国の伝統的な色彩感や、思想などを知ってもらいたかったから。五方色とは陰陽五行説に基づく伝統の色彩のことだ。
各展示会場では韓国、日本、在日の作品が紹介される。3回目の今年は過去2回を上回る450人が参加、481枚にのぼる作品が寄せられた(第1回作品320枚、3地域開催、第2回作品400枚、5地域開催)。
東京会場では色別にまとめられた作品が、整然と展示されていた。参加者はポジャギ初体験の初心者から、10年以上のベテランまでと幅広い。作品に近づいて目を凝らすと、布と布をつなげる縫い目にも、制作者の個性がくっきりと浮かび上がる。そして用いられた生地も絹や麻といったものばかりではなく、家庭で手に入る身近な素材が独特の味わいを出していた。
小さな展示思わぬ反響
「身の回りにある布を自由につないで楽しむのがポジャギの原点」と話すのは、「友情のポジャギを作る会」メンバーで、ポジャギ工房Koe(大阪・堺市)を主宰するポジャギ作家の李京玉さんだ。
今回限定したのは色だけで、布地の制約はない。「ポリエステルやウール、レースなど何でも大丈夫です。ポジャギは現代に受け継がれています。だから今作られる布地を使っていいんです」と李京玉さんは柔軟な考えの持ち主だ。
同展の開催は2004年暮れ、李京玉さんと「友情のポジャギを作る会」メンバーで、ギャラリーKyoキューレターの李賢静さんらが05年の韓日友情年に、ポジャギを集めて記念の展示をしたいと話したことから。だが、いざ声をかけると思った以上の反応に驚いた。1回だけだったはずの展示は参加者の声に押され、回を重ねることに。
欧米などの注目で弾み
近年、日本ではポジャギに対する人気は高まり、手芸の一分野という認識が浸透してきた。01年に来日、翌年からポジャギの指導にあたってきた李京玉さんを驚かせたのは、日本の染色や伝統工芸などに関する雑誌でポジャギが紹介されていたことだ。実は80年代にポジャギの第一人者、金賢姫さんが日本で展示会を開催。また韓国刺繍博物館の許東華館長もコレクション展を開いていたことから、日本ではすでに注目されていた。
「この時期は韓国ですらまだ注目されていなかった。日本や欧米のメディアが韓国の素敵なものを取り上げて、韓国人たちもそれに気づいていきました」と金京玉さんは当時を振り返る。
ソウルでの展示会では、「自分たちもやっていないことをなんで日本人が」と驚かれる。李京玉さんは「韓国人が欧米の文化に浸っているなかで、韓国の文化に対する自信やプライドを持っていいということ、そして同じアジアの国の人がこんなに楽しんでいるというのを伝えられた」ことは大きな成果と見る。「お互いに刺激になっています」と李賢静さんも笑顔だ。
今後はさらなる広がりと、韓国と日本社会に何かを訴えかけられるようなコンセプトを模索したいと先を見据える。
(2008.12.10 民団新聞)
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