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歴史摩擦超える交流拡大へ 来年は韓日友情・共同訪問年(04.7.28)
民間・地方こそ主体…民団の役割 重要性増す

 韓日国交正常化40周年に当たる来年は「韓日友情年」。盧武鉉大統領と小泉純一郎首相の済州島会談(21日)が親善ムードを盛り上げ、翌日は東京で、鄭東采文化観光部長官と石原伸晃国土交通相が「2010年までに韓日両国とも外国からの訪問客を倍増させる」とした共同声明に署名、来年を「韓日共同訪問の年」に位置づけた。歴史の節目は親善を深めもすれば、認識摩擦を再燃させもする。「架け橋」として存在感を示してきた在日同胞の役割が重要になる。

 国交正常化40周年に当たる来年を「友情年」・「共同訪問年」とする意味は大きい。02年のサッカーW杯韓日共催の成功に続く韓流フィーバーも追い風となって、在日同胞社会にも多文化共生の地盤固めにつながればとの期待が膨らんでいる。しかし、両国の新たなナショナリズムの高まりを背景に、歴史認識をめぐってアツレキが強まる可能性は否定できない。

 日本では、民団が重点的に推進してきた永住外国人の地方参政権獲得運動が保守層の強い抵抗にあっている。外国人犯罪の増加や北韓の日本人拉致問題などによって排他的な空気が広がり、せっかく根付きつつある多文化共生の潮流すら萎縮しかねない現実がある。

 一方の韓国でも、植民地支配の不当性をあいまいにした韓日基本条約に対する不満がなおくすぶっている。国会議員の過半数によって「日帝強占下の親日反民族行為真相糾明特別法」を強化する改正法案が国会に提出されており、植民地時代の清算論議が葛藤を深刻化させる恐れもある。

歴史教科書の採択どう対処

 来年はまた、韓日併合への道筋を固めた乙巳保護条約から100周年でもあるうえに、日本では中学生用歴史教科書の全国一斉採択がある。これが直接的な引き金になって、反日・嫌韓ムードが再燃しかねない。加えて、両国が外国人観光客を倍増させる目標年の2010年は韓日併合100周年でもあり、それをにらんで国民世論がどう動くかも未知数だ。

 2001年に韓日は激しく対立した。「新しい歴史教科書をつくる会」が編纂した中学生用歴史教科書の検定に際し、韓国政府が申し入れた35項目の修正が無視され、スポーツやオリニのレベルに至るまで韓日交流がことごとく中止になった経緯がある。

 盧大統領は21日の首脳会談後の記者会見で、「任期中は(歴史問題を)公式に争点として提起しない」とし、「日本から解決策として知恵を出してくれることを期待する」と語った。しかし翌日は、歴史問題の重要性に触れ、「歴史の真実について合意するのは難しいとしても、未来の教育をどうするかは合意できる」と述べ、小泉首相に前向きな対応を求めた。前日の発言に対する戸惑いと反発に配慮したもので、この問題の困難さを改めて見せつけた。

在日同胞らが積み重ねた力

 韓日の交流・接触の拡大は、相互理解を増進させる半面、摩擦をも生み出しやすい。両国関係が時には険悪になりながらも、「韓日新時代」の到来を謳うまでに成熟したのは、民団員を中心とする在日同胞たちのひたむきな努力があった。

 両国の地方自治体間の友好・姉妹提携は、70年の慶州市と奈良市、72年の扶余市と明日香村など古代からの歴史的な縁による締結が先駆けとなり、現在は122組に達する。民間レベルの姉妹、定期交流は数えるのが困難なほどだ。

 しかし、ここまでにはいくつもの障害があった。70年代に入っての韓日関係は、金大中氏拉致事件や朴正煕大統領暗殺未遂の文世光事件を契機に、日本マスコミの北韓礼賛と対韓中傷が激しくなり、国交正常化後では最悪期にあった。この状態は88年のソウル五輪まで続いたといっていい。

 国際親善を綱領に謳う民団は、困難な時期にこそと、各地に日韓親善協会、さらには日韓議員連盟の結成に主導的な役割を果たした。友好・姉妹提携の全国化は、韓日関係の浮沈に大きく影響を受けることなく、交流を拡大し関係悪化を抑止する機能を果たしてきた。民団はこうした自治体間や民間の多様な提携に直接的に、あるいは日韓協などを通じて間接的に関わってきた。

 韓日交流が実体をともない、友好増進の潮流が歴史摩擦を乗り越えていくためには、中央政府レベルだけでは限界がある。むしろ民間・地方自治体が主体になるべきで、その分、全国に根を張る民団の役割は引き続き大きいものがある。

相互理解図る架け橋の役割

 金大中大統領と小渕首相が署名した98年の「韓日共同宣言」で両首脳は、「在日韓国人が、韓日両国民の相互交流・相互理解のための架け橋としての役割を担い得るとの認識」を鮮明にした。盧大統領も昨年6月の日本国会での演説で、「60万在日韓国人はこの間、日本で地域社会と韓日関係の発展のため多くの寄与をしてきた」とし、「日本社会の構成員として、さらに積極的に貢献していけることを心から期待」するとの考えを示した。

 小泉首相の訪日要請を受け、年内にも盧大統領の来日が実現することになれば、民団を中心とする在日同胞の役割が改めてクローズアップされることになる。

(2004.7.28 民団新聞)
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