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国力増強も「統一」への気概あってこそ
「統一は大当たり」と大書した韓国企業提供の看板が2月4日、ニューヨーク・マンハッタンのタイムズスクエアに現れた

超党派で議論重ね ぶれない政策の樹立を
教育・啓発の徹底で 従北勢力の無力化を

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転機つくった「大当たり論」
負担論にクギ刺す…共感呼んだ「統一はテバク」

お荷物視では未来への障害

 大韓民国は憲法前文で「平和統一の使命」を掲げ、第4条で「大韓民国は統一を指向し、自由民主的基本秩序に立脚した平和的統一政策を樹立し、これを推進する」と明示している。統一実現はいわば国是であり、さらに言えば、「宿願」とも「悲願」ともなってきたはずである。

 しかし、それが国民レベルで持続的に共有されてきたとは言いがたい。朝鮮日報が行った新年世論調査で、「必ずしも統一する必要はないという意見の人が周囲に多い」との回答者が30代で52・6%、20代で65・3%だった。若い世代が統一を否定的にとらえている実態が浮き彫りになったかっこうだ。

 北韓は異様な唯一人独裁、疲弊・落後した経済、すさまじい人権蹂躙、予測不能な軍事挑発などをキーワードに語られる対象であり、同族であるよりは「やっかいな隣人」として存在してきた。それだけに、国力格差が開くにつれ統一国家建設を担う気概より、北韓を引き受けることを負担とする引き算思考に傾斜したとしてもあからさまには批判しにくい。

 だが、この現状をよしとすれば韓国が豊かで安定した未来を描くことは困難になる。本紙(1月29日付)は「東北アジアの協調 『南北統一』で主導を」と題する論考でこう言った。

 「韓半島の統一を担保し、主導する立場の韓国でありながら、その推進力は実に心もとない。まずは、米・中・日・ロの4カ国と国連を含む国際的な協調関係を築くことに外交力を総動員すべきだ。同時に、統一の意義に関する学校・社会教育の拡充に努めるなど、国民意識を底上げすることが欠かせない」

 日本と中国の戦略的な角逐が予断を許さない状況にあることを背景に、韓国はそれに揺さぶられることなく、むしろ自らと東北アジアの将来的な課題に日中両国を引き寄せ、国家目標である平和的な先進統一国家の建設に邁進する体制を整えるべきだ、と主張したうえでの指摘だった。

 朴槿恵大統領は就任1周年の先月25日、国民に向けた談話で、大躍進を目指す「経済革新3カ年計画」と合わせ、「統一準備委員会」を大統領直属機関として設置する方針を打ち出した。経済の大躍進がなければ統一基盤づくりはできず、統一ができなければさらなる大躍進はない、との思いがこめられている。

「統一法講座」予想超す人気

 朴大統領は1月の新年記者会見でも「統一はテバク(  )だ」と強調して関心を引いた。テバクとは「大当たり」「大ヒット」といった感覚で使われている。バクは瓢箪(ひょうたん)のことでもあり、韓国の昔話『フンブとノルブ』のなかの、正直者のフンブが瓢箪を割ったら宝物が出てきた、という話は有名だ。大統領はこれを意識したはずである。

 朝鮮日報が1月25・26日に実施した世論調査で「テバク論」に「大いに共感する」が25・4%、「ある程度共感する」が37・3%、「特に共感しない」が19・0%、「まったく共感しない」が14・3%だった。「共感する」が「共感しない」の2倍近い。「統一の利益や必要性に対する韓国人の意識が最近やや前向きになっている」と同紙は報じた。

 主要各紙は、「テバク論」と統一準備委設置構想について、「統一に無関心もしくは否定的だった一部の世論を反転させ、国民の大多数が統一に肯定的になる転機をつくった」、「北韓の刺激を避けるべくカーテンのかかっていた統一論議を社会的に復権させた」などと高く評価している。

 ソウル大法科大学が今月から、これまでロースクールや法科大学院に限定されていた「統一法講座」を学部生向けにも開設したところ、予想以上に反応がよく、当初30人ほどと見込んでいた受講生が他学部も含め80人になったのはその一例と言えよう。

 大学側は「今年初めから統一論議が想定以上に速いペースで進んでいるが、統一後の体制を規定する法的基盤については社会的認識や議論がやや不足している」と講座開設の背景を説明した。受講生は「統一法と南北関係の規範体系」「DMZ(非武装地帯)世界平和公園造成に向けた法的基礎」「統一合意書の締結方案」などを学ぶ。

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大きい統一準備委への期待
「大統合」の象徴にも…待たれる多様な国民運動

各界、各層の牽引を担って

 統一推進力は、宣伝・教育を基礎に組織化された多様な国民運動、関連主要国との折衝力、立法・行政・司法の実務能力などで構成される。統一部、外交部だけでなく安保・教育部門など政府各部署を束ね、各界各層を牽引する統括組織が不可欠だ。その意味でも大統領直属の統一準備委への期待は大きい。

 北韓の急変事態はいつ起きてもおかしくないだけに、対応には万全を期すべきだとしても、急変事態を既成事実化して臨むわけにはいかない。体制が早期崩壊するよう誘導・圧迫する政策に重心が傾き、対話・交流の必要性が後退するからだ。

 朴大統領は、対話や人道支援を通じて北韓との信頼構築を目指す「韓半島信頼プロセス」、経済的には相互依存を深めながらも政治・安保で緊張の絶えない域内諸国の相互信頼を築く「東北アジア平和協力」の二つの構想を提唱してきた。

 統一準備委の理念・任務・構成は、不可分の関係にある二つの構想に即したものになろう。野党や合理的進歩派を含む超党派的な機構のもとに、旧西ドイツが見せたような政権交代に影響されない確固不動な統一政策の樹立・執行が期待される。

 この統一準備委について朴大統領は、「外交・安保や経済・社会・文化などさまざまな分野から専門家や市民らの参加を得て、統一に向けた国民レベルの議論をまとめ、統一韓半島の青写真を描きたい」と表明し、「南北間、世代間の統合、新たな時代への大統合を実現していく」との決意を示している。

 韓国には建国過程から続く根深くも激しい理念葛藤がある。分断に起因するそれは、国民間に文化的・心理的分断を内面化させ、共同体意識の形成を阻害してきたとも言われてきた。これを癒し、国民統合を果たすのは分断の克服、つまり統一を実現する意志を共有することから始まる。

 その過程はまた、韓国を北韓に従属させる政治策動を「進歩」と称し、「自由民主的基本秩序に立脚した平和統一」(憲法第4条)の障害となっている従北勢力をいっそう孤立させ、無力化させる道程ともならねばならない。

丸裸にすべきエセ統一勢力

 まずは、現在進行中である従北勢力の巣窟・統合進歩党(以下、統進党)に対する「違憲政党解散審判」と、同党所属の李石基議員らによる「内乱陰謀事件」の公判を「統一教育」のまたとない教材として活用する必要がある。「統一」の美名を煙幕にして分断状況に寄生する従北勢力の実態は広く知られるべきなのだ。

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内乱陰謀と統進党解散審判
「反面教師」に活用すべき…法治貫く姿勢 果敢に示せ

 統進党議員らによる内乱陰謀事件で水原地方法院は先月、首謀者・李石基に懲役12年、資格停止10年(求刑=懲役20年、資格停止10年)の判決を下した。李石基側は控訴しており、憲法裁判所では同党に対する違憲解散審判が慎重に進められているところだ。

 当局は内乱陰謀事件を「北韓の主体思想と対南革命論に追従する地下革命組織の組織員たちが北韓との戦争状況が差し迫っているとの情勢認識のもとに、戦争状況になれば大韓民国の自由民主主義体制を暴力で転覆させようとする社会主義革命を決議したが、発覚した事件」と定義している。

 同事件の捜査は、李石基ら従北勢力の裏組織・RO(革命組織)の活動実体に対する内部告発が端緒だった。天安艦爆沈事件(10年3月)後も北韓に盲従するROに失望したのが動機だという。告発者が任意で提出したUSBメモリーに明らかな証拠をもとに、適法手続きに基づいて内偵に着手したのが同年5月。約3年にわたる内偵の過程で昨年5月、秘密会合での内乱陰謀容疑を捕捉、本格捜査に入った。当時は、北韓が長距離弾道ミサイルの発射に続いて3回目の核実験を強行、核戦争危機を狂的に煽り、休戦協定の無効化、戦時状況突入宣言、開城工団閉鎖と続いた頃である。

「総攻撃命令」下れば一瞬に

 告発者が提出した録取記録によれば、李石基は時代状況を「米帝国主義の支配秩序が没落し、我が民衆の自主的進出により、新たな秩序に交代する大いなる時代激変期」と規定し、「米帝との腐れ縁を断ち切る大決算を宣布したのが休戦協定無効化であり、強力な革命的契機が到来した」と強調している。

 彼は金大中・盧武鉉両大統領など進歩派グループから支持された人物をも呼び捨てにする半面、金日成には「主席様」、金正日には「委員長同志」などと北韓式の尊称を用い、「人工衛星(長距離弾道ミサイル)発射と3回目の核実験は、自力更生の艱難奮闘(孤軍奮闘の北韓式表現)による革命闘争」と規定した。

 「まとめの発言」では、「一丁の拳銃思想」と「ボルシェビキ革命思想」で武装し、物質的・技術的準備体系を構築して、「総攻撃命令」が下れば一体化した強力な集団的力を通じ、一瞬にして祖国統一の新たな歴史をつくろうと扇動している。

 高位級脱北者らは「北韓で一般に使う用語だけでなく、金日成著作にある教示の内容とつながる表現が多用されており、労働党の対南路線を確実に修得し、金日成・正日の教示と金日成回顧録をしっかり学習しなければ、(この発言は)党幹部でも容易ではない」と驚く。

 李石基は骨の髄から「金日成主義者」と言われてきた。そんな彼が牛耳ってきた組織の一つがれっきとした院内政党である統進党だ。

 法務部は「違憲政党解散審判請求」(昨年9月)で、「統進党は2011年、北韓の指令に従い、金日成の対南革命戦略である《進歩的民主主義》を党の最高指導理念として綱領に掲げた」とし、同党の主張する「韓米同盟解体、駐韓米軍撤収、国家保安法廃止、連邦制統一は、金日成の《進歩的民主主義》の核心内容とまったく同じだ」と指摘した。

 また、「ROが主軸である汎京畿東部連合が党権を掌握し、これを保護・黙認するNL(民族解放=主思派のこと)系列だけが統進党に残留している」と述べ、「最近摘発されたROの内乱陰謀はまさに、武力暴動によって韓国を転覆させようとしたもの」と主張する。

 統進党は「目的」と「活動」の両面で違憲性を問われた。解散審判と内乱陰謀事件の公判が同時に進行しているため二つの事案は関連づけられやすい。李石基らが無罪になれば統進党にも違憲性なしの判断が下される可能性があり、政府の統進党解散審判請求は法院の審理に影響を与えかねない性急な決定だ、とする見解がその典型だろう。

 しかし、憲法第8条4項には「政党の目的又は活動が民主的基本秩序に違背するときは、政府は憲法裁判所にその解散を提訴することができ、政党は憲法裁判所の審判により解散される」とある。ここで重要なのは「目的又は活動」とある点であり、そのいずれかが民主的基本秩序に違背すれば解散を命じる規定になっていることだ。

 本紙は「民主的秩序守る決意 決然と示せ」と題する論考(13年11月20日付)で「『目的』は『活動』に内容と方向を与え、『活動』はそれに基づいて『目的』を具現する。分かちがたく結びついているとはいえ、違憲政党審判ではあくまで『目的』を第一義に扱うのが本筋だ」と述べた。これを今一度強調しておきたい。

利敵団体など依然12も残る

 法務部の黄教安長官は東亜日報(2月17日付)との単独インタビューで「反国家団体、利敵団体の判決が下されても、依然として残っているのが12団体、北韓や在日朝鮮総連を除いても10団体がある」とし、「この問題を含め『法治による非正常の正常化』を今年の大きな戦略目標に決めた」と表明した。

 利敵団体の構成員が違法行為を行ってもそのつど罰するだけで、団体そのものを解散させる規定が韓国にはない。黄長官はこれを踏まえ、「利敵団体の解散法案が議員立法で発議されている。法務部は関連立法の支援や違憲的要素を最小化する対策をまとめる」とも語った。また、統進党解散審判の第1回弁論に自ら臨んだことについて、「国の法律的代表者として、原則を守る姿勢を示すことが国民に事件の意味を考えさせる機会を与える」との認識を示した。

 「法治による非正常の正常化」はもちろん、違憲審判を啓発の場にしたいとの意志は貫かれるべきだ。極端に劣後した北韓体制を称え、追従する勢力を反面教師として活用しない手はない。教育・宣伝の強化から始まる統一準備への本気度が問われている。

(2014.3.19 民団新聞)
 

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