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<韓米>原子力協定42年ぶり改定…再処理、研究開発だけ
韓米原子力協定に仮署名した朴魯壁外交部原子力協力大使(右)とリッパート駐韓米大使(22日)

韓国 なお残る日本との格差

 2010年から4年6カ月にわたり続いてきた韓米原子力協定の改定交渉が22日妥結し、朴魯壁外交部原子力協力大使とマーク・リッパート駐韓米大使が「韓国政府と米合衆国政府間の原子力の平和的利用に関する協力協定」に仮署名した。

 73年に初めて協定が締結されて以来、42年ぶりの全面改定で、新協定は、主要争点だった現行協定で完全に禁止されている韓国政府による「使用済み核燃料の再処理」と「ウラン濃縮」について、「米国の同意」という条件付きで将来的な可能性に道を開いた。

現行協定では明示的に禁止

 現協定は14年に期限が切れる予定だった。両国は原子力産業の発展に合わせて協定の改定をめざし、10年10月から交渉を続けてきたが、難航したため協定の期限を16年3月まで2年延期した。

 新協定は、両国内での手続きを経て、来年3月までに発効する。これまで40年とされてきた協定の期限は、原発を取り巻く環境の変化などを考慮して20年に短縮された。

 朴槿恵大統領はチリを訪問中の22日、改定交渉妥結について、政府が掲げていた使用済み核燃料の効率的な管理、核燃料の安定的な供給、原子力発電所輸出拡大の3大重点目標を中心に「実質的な国益が最大限に反映された」と評価。「現行の協定を先進的かつ互恵的な協定に変えることになったのをうれしく思う」と述べた。

 両国は新協定の序文で、核不拡散条約(NPT)の当事国として原子力の平和目的での研究・生産・利用において「不可譲の権利」を持つことを確認。また、両国の原子力協力の拡大において、主権の侵害があってはならないと明示した。

 さらに、濃縮や再処理など核燃料の形状・内容の変更を含むさまざまな原子力活動において、相手国の原子力計画を尊重し、不当な妨害や干渉を行ってはならないとの義務規定も盛り込んだ。

 現在の協定では、韓国における「ウラン濃縮」と「使用済み核燃料の再処理」がいずれも明示的に禁止されている。これらは「ゴールドスタンダード条項」と呼ばれ、韓国国内では「主権の侵害」として強い不満の声が何度も上がっていた。

ウラン濃縮は米国同意必要

 改正交渉における韓国の核心的な要求事項は、ウラン濃縮と使用済み核燃料再処理の許可の2つだった。新協定には、「ゴールドスタンダード条項」は入っていないが、引き続き「米国の同意」が不可欠だ。「一方的規制ではない韓米相互権限行使を保障したことは大きな進展。韓国の裁量のレベルが高まった」と政府は説明している。

 両国は、使用済み核燃料について、研究開発のために再処理を行う場合に限り、核兵器に転用可能なプルトニウムが生じない「乾式再処理」(パイロ・プロセッシング)の前半部の工程を韓国で行えることとした。しかも「乾式再処理」については今後も20年まで共同研究を行い、その結果を見極めた上で、再処理あるいは再利用を認めるかについて、あらためて協議を行う。

 また、双方の合意があった場合、韓国は米国産ウランを核燃料として使用するために20%未満の低濃縮を行える。なお、韓国に濃縮施設はない。

 使用済み核燃料の管理に関しては、米国産の使用済み核燃料を両国が合意する第3国に送り、委託再処理できるようになった。しかし、再処理された核物質の韓国内への搬入は、依然として米国の事前同意対象である。

 韓米両国と原子力協定を締結した第3国に対しては、米国の同意なしに米国の核関連物質や原子力関連の機器、物品を自由に輸出(再移転)できるようになる。これまで全量輸入に頼ってきたがん診断用の放射性同位元素(ラジオアイソトープ)は、今後韓国で生産できる。

 さらに、両国は、原子力協定の円滑な履行のために高官級(次官)委員会を新設し、毎年定例会議を開く。濃縮および再処理に関しては、必要に応じてこの高官級委員会で扱う。このため、ウラン濃縮や使用済み核燃料の再利用という難題の解決を先送りしたとの批判も出ている。

 新協定は、使用済み核燃料の再処理や濃縮を包括的に容認している米日原子力協定(88年改正締結)の水準にはおよばない。韓国政府は、日米原子力協定が締結された時期と現在の環境は違うと説明している。

北と対照的な平和利用追求

 日本が核燃料再処理権限を確保したのは国際社会の核非拡散規範が定着する前のことであり、冷戦解体以後、93年の北韓のNPT脱退宣言、98年のパキスタンの核実験など米国の核拡散抑止政策を強化させる国際的事件があいついで発生。米国は、核不拡散政策を最優先の考慮事項としており、ベトナムは13年10月に署名した米国との原子力協定で、核原料物質を国際市場から調達し、ウラン濃縮や使用済み核燃料の再処理を自制することに同意した例などをあげている。

 韓国は、91年12月の「韓半島非核化共同宣言」以降、北韓の3回にわたる核実験(06年10月、09年5月、13年2月)にもかかわらず、非核化と原子力の平和的利用原則を守ってきた。北韓核問題解決のための「6者会談」参加国のうちウラン濃縮施設およびプルトニウム再処理施設がないのは韓国だけである。

 米国は、ウラン濃縮や使用済み核燃料の再処理が、核兵器の製造に転用されることを強く警戒している。韓国が、核燃料再処理の権限獲得に執着することは、核武装への道を開くものとの誤解を招きかねず、北韓に対して核開発放棄を要求するうえでも賢明ではないとの声が、韓国国内にも根強く存在する。

 こうしたことをも踏まえ、朴大統領は13年5月の米上下両院合同会議での演説で、韓米原子力協定の改定と関連して「韓国は確固たる非拡散原則の下、原子力の平和利用を追求している」と改めて強調している。

(2015.4.29 民団新聞)
 

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