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核妄想の北韓…狭まる包囲網
ソウル駅前広場で開かれた北韓の核威嚇糾弾汎国民大会の参加者たち=2月22日

 朴槿恵大統領の94周年3・1節記念辞は、韓日関係より北韓問題に比重をおく内容だった。3回目の核実験(2月12日)がそれだけ、韓半島と東北アジアの平和確保に打撃となり、韓国の国政全般に深刻な影響をもたらすレベルで強行されたことを示す。韓国国内の一部にあった北韓擁護論は影を潜め、中国・ロシアも苛立ちを強めている。国連および主要関連国も核兵器開発と軍事挑発をいとわない北韓の体制そのものへの圧力を一段と強めよう。

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語るに落ちた強弁
「3回目」 友好国も危機感

 朝鮮労働党の機関紙・労働新聞は3度目の核実験について、2月22日の解説記事で「国の自主権を守るための当然の措置」であると強弁し、「わが国が核抑止力を備えなかったら、米国が韓半島で戦争を起こし、わが国はイラクやリビアのようになっていただろう」と主張した。

 体制が崩壊した二つの国を挙げての正当化である。語るに落ちるとはこういうことだ。朴大統領(当選人当時)は核実験翌日の13日、「北韓が4回目、5回目の核実験をしても、北韓の交渉力は高まらない。旧ソ連は核兵器がなくて崩壊したのではない」と語り、ことの本質をズバリ突いた。

 平壌政権の狙いは、「実質的な核保有国」として米国との対話の道を開き、核兵器を保有したまま経済制裁の解除と現体制の安全保障を得ることにある。しかし、関連主要国や国際社会が北韓の核兵器に屈服することも、まして、自国民の人権と人権以前の命さえ踏みにじる醜悪な、失敗した体制の安全を保障することもあり得ない。

 それが平和の実現を担保することにならないのはもちろん、むしろ国際社会の秩序を根底から覆すことになるからだ。

 核兵器による体制維持は妄想に過ぎない。一時的に交渉の道を開くことはできても、平壌政権が満足する見返りを得るのは不可能だ。関連国は、莫大な援助を与えて核実験やミサイル発射を一時的に猶予させる弥縫策が事態を悪化させてきたことをイヤと言うほど学習してきた。

「強烈な不満」相次いで声明

 3回目の核実験を中止させるべく圧力をかけてきた中国は12日、外務省声明で「国際社会の普遍的な反対を顧みず、再び核実験を行ったことに断固たる反対」を表明し、北韓の駐中大使を呼んで「強烈な不満」を伝えた。ロシアも「長年わが国と善隣関係にある国だけに二重に遺憾」との声明を発表した。

 昨年12月の弾道ミサイル発射を非難し、新たな制裁を盛り込んだ1月22日の国連安保理決議は、中国・ロシアを含む全会一致だった。3回目の核実験に対する厳しい制裁にはなお慎重な姿勢を見せる両国さえ、平壌政権との距離は着実に遠のいている。

 対立が先鋭的だった時代の米ソは言うにおよばず、時に戦火を交えた中国とインドにおいても、核保有は相手からの核攻撃に対する抑止力として機能してきた。だが、瀬戸際政策の効果が薄れることで、選択肢をますます失いつつある平壌政権が核兵器を手中にすれば、不測の事態に巻き込まれかねず、中・露への威嚇カードにもなりかねないとの判断が働いている。

 それはともかくとしても、この間の軍事挑発がすでに、アジア・太平洋地域での米国の軍事プレゼンスを高め、日本と韓国の軍事力増強を招きつつあるだけでなく、経済発展にも大きな障害になっているとの苛立ちが両国にはある。

 中国とロシアの国策研究機関を含む学識者の間では、韓国主導の統一実現が自国と東アジアに利益をもたらす、との認識が力を持ち始めた。ロシアでは特に、閉鎖的で信頼性の低い平壌政権が国運をかけたシベリア・極東開発のネックになっているとの見解が繰り返し表明されてきた。

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中国に「放棄論」
「同盟再考」が公然化…「韓国主導の統一」を歓迎も

基本政策目標自ら矛盾指摘

 中国共産党の機関紙・人民日報系の環球時報は2月13日付の社説で、「核爆弾があれば安全と考えるなら、それは幼稚だ」と糾弾し、北韓との友好維持と韓半島非核化支持という中国の基本原則が矛盾をきたしたと指摘、放射性物質による汚染などで中国東北部の安全が損なわれた場合、援助を減らすなど強硬な対抗措置をとるべきだと提唱した。

 より注目されるのは、中国共産党中央党校の機関紙・学習時報の副編集長が「中国は北韓を放棄し、韓半島の統一を推進しなければならない」と強調した一文を英国フィナンシャル・タイムズ(2月28日付)に寄稿したことだ。ちなみに同校は、高級幹部養成機関であり、習近平総書記が昨年まで校長を務めていた。

 寄稿文はまず、北韓の地政学的価値に基づいた中国の戦略的安保意識は過去のものであり、北韓の3回目の核実験は中国が平壌政権との同盟関係を再考するまたとない機会だと主張した。

 続けて、「クリントン前米大統領が09年に平壌を訪問したとき、金正日は米国が支援の手を差し出せば、北韓は中国に対抗する最も強力な要塞になるとも提案した」ことに言及、「北韓が核兵器を持つことになれば、気まぐれな金政権が核兵器で中国を威嚇する可能性を排除することはできない」とまで警戒感をあらわにした。

 その上で、「北韓を放棄する最良の方法は、韓半島の統一を推進することであり、そうすれば韓・米・日の戦略同盟が弱まり、中国に対する圧力も緩和されるだろう」との認識を示している。

国内世論へのジレンマ反映

 こうした社説や寄稿文は個人の見解ではなく、内部討論を経た「集団的意思表示」と見なすべきだろう。一方で、「運命共同体の中・朝関係が変わるべきだとは考えない。米国に従う韓国が韓半島を統一するのが中国にとって良いことか? 北韓は中国の戦略的な緩衝地帯として残っていなければならない」との伝統的な主張も紹介(環球時報英語版・グローバルタイムズ)する配慮を忘れていない。

 この二つの立場は、北韓の核保有を認めず、韓半島の安定を維持する、との政策目標のジレンマをそのまま反映したものだ。言い換えれば、若手中心の切り捨て派と守旧的な擁護派の見解を並列することで、北韓問題で割れる国内世論に配慮するものでもあろう。

 しかしその基調は、出方によっては従来通りの関係を維持するとの落としどころを用意しつつ、北韓を強力に牽制するところにあるのは疑いない。北韓切り捨て論を唱えた寄稿文で、クリントン前大統領への刺激的な金正日発言を持ち出し、強調したことの意味は大きいと見るべきだ。

 二つの立場からの論戦は、北韓が2回目の核実験を行った09年6月、胡錦濤国家主席が対外政策に関する最高意思決定機関である党の「中央外事工作領導小組」に対北韓政策の再検討を指示してから本格化した。

 切り捨て派は当時、北韓が2回も核実験を強行した以上、中国はもはや単純な仲介者ではなく、被害を受けることもあり得る当事者になったと前提、北韓を緩衝地帯とする旧来の地政学的な戦略を放棄し、石油・食糧支援を見直すべきだと主張した。

新体制移行へ注目の全人代

 これに対し擁護派は、核開発が兵器化の段階まで行っていないことを挙げ、北韓への圧力が体制崩壊につながって難民が殺到し、コントロール不能の混乱に陥る懸念を表明、北韓はお荷物ではなく韓・米・日の中国包囲網に対抗する戦略的な資産だとする立場を崩さなかった。

 北韓急変時に中国が介入する根拠となる中・朝友好協力相互援助条約の破棄まで論じられながらも結局、従来の路線が踏襲されるところとなり、北韓の核保有を阻止できなかったとの苦い思いを残すことになった。

 その中国で全国人民代表大会(全人代)が5日から開幕した。新体制が公式にスタートして外交ラインが確定すれば、習近平新国家主席を組長とする「中央外事工作領導小組」が北韓問題を要とした韓半島政策を新たに策定する。前述の社説や寄稿文は、それへのシグナルでもあろう。

 切り捨てか擁護か、中国はいずれの立場に収斂していくのか。守旧派による擁護論は根強いとしても、国際社会を敵に回してまで、失敗した北韓擁護路線を継続するとは考えにくい。

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市民に広がる反発
これが援助の見返りか…「土地・水・空気・食糧を守れ」

 3回目の核実験以降、北京の北韓大使館、瀋陽市の総領事館前など各地で「援助のお返しがこれか」「われわれの人、土地、水、空気、食糧を守れ」などと書いたプラカードを掲げるデモがあった。環境保護当局が核実験から2日後、「汚染はない」と発表すると中国版ツイッター「微博」には、「東北部の数千万人の中国人より北韓が大切なのか」「(当局は)北韓の代弁人か」などの書き込みが著名人などから相次いだ。

デモやネット初の糾弾行動

 まだ大きなうねりになっていないとはいえ、この程度の動きでも北韓糾弾の公然化は中国では初めてのことだ。中国の市民意識にも大きな変化が見られる。習近平体制も容易には無視できなくなる可能性を秘めている。

 韓国の「進歩」的市民団体の多くは、北韓に従属するいわゆる従北勢力が巣くいやすい体質を持ち、核開発についても擁護論を唱え、少なくとも金大中・盧武鉉政府時代の対北包容政策を支持してきた。だが、これまでとは異なる様相を見せている。

 参与連帯は「核兵器は反人道的な大量殺戮兵器、不法武器」であり、「北韓だけでなくどの国も核兵器を保有し、実験する権利を持つものではない」と糾弾。「北韓は核武装のための行動を直ちに中止し、韓半島の非核化と平和体制のための論議に積極的に加わらねばならない」「韓半島の根本的な平和定着方案が何か、熟考しなければならない」と促した。

 経済正義実践市民連合も、「政府は国際社会と国民の意思を集め、冷静な対応により、事態が最悪の状況に陥ることのないよう、外交努力を傾けねばならない」としたうえで、「北韓が韓半島情勢を破局に追いやるいかなる行為も容認できない。韓半島の緊張を高潮させる行為を即刻中断しなければならない」と要求した。

北の揺さぶり効果は薄れる

 韓国国会が北韓核実験糾弾決議案を採択(2月14日)した際、統合進歩党の6議員は、危機管理を怠った韓・米の責任だなどとして賛成・反対・棄権のいずれの意思も示さなかった。

 このような、いわゆる従北勢力がなお存在し、間近な軍事的脅威に対しても危機意識が乏しかった韓国でも、北韓による揺さぶりがかつてほどの効果を見込めない程度には引き締まってきた。

 北韓の核兵器開発は軍事面でも、環境面でも危険水位を超えつつあり、平壌政権には改革開放か、崩壊か、いずれかの道が残されているだけだ−−こうした認識が韓・中両国の市民たちにも広がっている。

 核・ミサイル開発の続行を物理的に不可能にする国際監視・包囲網を完全にすることが急がれよう。エネルギーや食糧など北韓の生命線を握る中国にしても、平壌政権と心中するつもりがないのは明らかだ。韓・米・日による中国への働きかけは、かつてより大きな効果を持つだろう。

(2013.3.6 民団新聞)
 

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