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在日から世界へ…篠藤 ゆり(作家)
在日から世界へ…篠藤 ゆり(作家)

 2月末のこと、在日コリアンの金守珍さん率いる劇団新宿梁山泊と、在日の打楽器奏者・閔栄治さんがプロデュースする音楽&ダンスのユニットSANTAのコラボレーションが、フィリピンの劇場で実現した。

 この機会を見逃すわけにはいかない。私も彼らを追って、フィリピンまで飛んだ。

 芝居と音楽やダンスが絡み合うパワフルなステージは、最初から地元の観客の心をしっかりとつかんだ。テグム(大 )のデリケートな音色は、役者の心理描写をみごとに補い、伝統打楽器の圧倒的なリズムが、観客を興奮の渦に巻き込んでいく。

 最後はステージと観客が一体となり、手拍子が響き、みんな本当に楽しそうな表情をしていた。そしてあちこちから、ブラボーの嵐!

 上演後、演劇大学に通う女子大生から、こんな質問が出た。「日本の芝居なのに、なぜ韓国の音楽と踊りが入るんですか?」

 自分たちはルーツを朝鮮半島に持ち、日本で生まれ育った、在日コリアン2世、3世であること。民族の文化も受け継いできたし、誇りも持っているけれど、あくまで日本という場で、日本語で表現活動を行っている−−歴史的経緯を含め、在日について説明する金守珍さんの言葉に、みんな大きく頷く。

 本国とも違う、「在日」のカルチャーを、世界に向けて発信したい。その思いは、フィリピンの人たちの心に確実に届いていたようだ。さらにそこから、広い世界にどう踏み出していくのか。在日の表現者たちのこれからの活躍を、私も楽しみにしている。

(2005.05.18 民団新聞)
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