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人気ミュージカル「スリル・ミー」…韓国実力派が日本で初共演
チェ・ジェウンさん(右)とチェ・ジホさん
昨年7月の公演より。右がチェ・ジェウンさん。左はキム・ムヨルさん=撮影/田中亜紀

ぶつかり 可能性広げたい

 2012年7月、日本キャスト3組のペアに加え、韓国の実力派俳優(チェ・ジェウン×キム・ムヨル)も出演(韓国語上演)し、大好評を博した日本版ミュージカル「スリル・ミー」(演出・栗山民也)が3月、再上演される。韓国では07年に初演されて以来、毎年、再演されるほどファンから絶大な支持を得ている。今回の韓国語公演には、ジェウンさんと10年から韓国版「スリル・ミー」に参加しているチェ・ジホさんが出演する。来日した2人に聞いた。

「一味違う新しい作品」ジェウンさん
「素材と独創性の魅力」ジホさん

 「スリル・ミー」は1924年、米シカゴで起こった少年誘惑殺人事件を題材にした作品だ。犯罪に走った2人は、ともに裕福な家庭に育った同性愛者の大学生。当時、理由なき快楽殺人の第1号と位置づけられ、世紀の犯罪と言われたほど、米国中を震撼させた事件だった。

 舞台は、2人の俳優と1台のピアノがあるだけ。昨年の日本公演同様、3月公演でも「私」役を演じるジェウンさんは、韓国版「スリル・ミー」初演のオリジナル・キャストだ。何度も舞台に立ってはいるが、いろいろな解釈ができる作品だけに、役作りの難しさを感じている。

 「ほかの俳優たちが『私』を弱いキャラクターに作り上げているのとは違い、強い『私』をどう作っていけるかについてずっと悩み続けている」

 初めて実話だと知ったとき、びっくりしたと言う「彼」役のジホさんは、「ただの愛ではないし、ただの殺人を謀る2人ということではなく、もの凄く複雑に絡み合っているので、やればやるほどそれを感じ続けていて今も悩み続けている」。話を聞いていたジェウンさんがうなずいた。

 韓国では異例ともいえるロングラン上演を続けている。人気の秘密についてジェウンさんは「まずは作品が気に入られたのだと思う。もちろん俳優の力というのはあるとは思うが、観客が受け身で見るのではなく、能動的に参加していくことができる作品」だと指摘。ジホさんはスリル・ミーが持っている「素材や独創性」を挙げた。

 張り詰めた空気の中での「彼」と「私」のやり取り。フリードリヒ・ニーチェの超人論に心酔し、完全犯罪というスリルを求める「彼」、「彼」を愛するゆえ犯罪に手を貸す「私」…。観客は一時も目を離せず、物語の世界に入り込んでいく。

 ジェウンさんは昨年の公演について「自分たちが準備してきたものは一生懸命、出し切ったと思っている。後悔もないし、楽しんだ。それに日本の観客の皆さまが好意的に見て下さっているのもあって、力をもらった」と振り返った。今公演では、気負いも負担もないと自然体だ。

 日本でも定評のある韓国ミュージカル。日本から韓国で上演される作品を見に行く人たちも増えている。俳優の演技力や歌唱力についても評価は高い。

「感じたことそのままを」

 ジホさんは「韓国の俳優は上手いとか、そういうことではないと思う。韓国の人は、感じたことをそのまま自然に、直接表現するというスタイルに慣れている。日本はどこかで抑制することがあるのかも分からないが、上手いとか上手くないということではない」。さらに「韓国人はもともと声が大きい。よく怒るし、自分の言いたいことは言うし、パルリ、パルリ、早くしなきゃいけない」と茶目っ気たっぷりに説明を加えた。

 ジェウンさんも日本の俳優の歌は上手いと認めている。昨年の公演前に、日本キャストの田代万里生さんと新納慎也さんペアの映像を見た感想を語った。

 「新鮮だった。ほかの俳優さんたちもとてもフレッシュだった。私たちよりも台本に近い年齢の人たちが多いので、そういうふうに感じた。本当に一生懸命で上手だなと思った」

 観客については、韓国では10代、20代が多いのに比べて、日本の場合は40代、50代の観客もいて驚いたと話すジェウンさんは、日本の観客層の厚さに「うらやましいな」とも。

 2人がペアを組むのは初めてだ。でもお互いを信じ合っている。10年の韓国版では別のペアではあったが、合同稽古もしていたからだ。

 「もちろん、お互いの解釈が違うこともきっとあるので、そこでぶつかり合うことは絶対あると思うけど、そうやりながらいろいろなものを探していきたい」とジホさんは素直な気持ちを表した。

同胞の皆さんぜひ楽しんで

 初の日本公演になるジホさんは「場所が変わっただけだと思っている。これまでやってきたものを準備し直して、演出の栗山さんにもお会いし、話をたくさんして内容を深めていきたい。今までやった通りのやり方で舞台に臨みたい」と意気込みを語った。

 ジェウンさんは「とても独特な作品なので、愛の物語やショー的なミュージカル以外に、新しい作品を求めている方は必ず劇場に来て下さい。3月に会いましょう」。ジホさんは「本当に深い、質のいい作品だと思う。韓国の2人の俳優が出演するので、特に同じ同胞の方は会場にいらして楽しんでほしい」とメッセージを寄せた。

(2013.1.30 民団新聞)
 

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