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女人禁制破ったパンソリの名唱描く…「花、香る歌」全国上映へ
チン・チェソンを熱演したスジさん(C)2015 CJ E&M CORPORATION, ALL RIGHTS RESERVED
「花、香る歌」について語るイ・ジョンピル監督
「心の根源」に迫りたい
「miss A」ボーカル・スジの熱演期待通り…イ監督


 朝鮮朝末期、女人禁制だったパンソリの世界に飛び込み、初の女流名唱となった実在の人物、チン・チェソン(陳彩仙)を題材にした、イ・ジョンピル監督(36)の映画「花、香る歌」が23日から、シネマート新宿(東京)、シネマート心斎橋(大阪)ほか全国で順次公開される。パンソリを題材にした映画は、1993年に制作された林権澤監督の「風の丘を越えて/西便制」などがある。イ監督は、女性の差別が厳しかった時代、芸を極めるために挫折を乗り越えながら成長していくチェソンの人生に焦点を当てる。

下旬まず東京・大阪で

 全羅北道・高敞生まれのチン・チェソン(1847〜未詳)は17歳のとき、朝鮮朝最初のパンソリ楽団「桐里精舎」の首長で、後の師匠となるシン・ジェヒョ(申在孝、1812〜1884)に弟子入りし、本格的に修行を積む。

 イ監督がチェソンの存在を知ったのは、「花…」制作代表者の知り合いの学者から、実在の人物がいるという話を聞いたときだ。

 映画の企画が立ち上がり、その後文献を探して読んでみると、壬辰倭乱(文禄・慶長の役)の際に焼失した景福宮を第26代王・高宗の父である興宣大院君(1820〜1898)が再建し、景福宮の慶会楼で催された「唱の競演大会『落成宴』(1867)に出場し、女性が初めて優勝した」という短い記録しか残っていなかった。

 「その記録にまず興味を持った。それから師匠との物語にも惹かれるものがあり、自然とパンソリという題材を選ぶようになった」。撮影前、改めて「西便制」を見た。「本当に素晴らしい作品。『西便制』に対してオマージュの気持ちがあったので、その気持ちをこの映画のなかに入れた」

 パンソリは歌であると同時に物語でもあると強調する。パンソリの代表作と言われる「沈清歌」は、幼くてして母を失い、目の不自由な父を献身的に支えた孝行娘、沈清と父の物語、そして「春香歌」は、両班の息子と妓生の娘の身分を超えた恋愛物語だ。

 ジェヒョとチェソンは師匠と弟子の関係だが、恋人や父娘のように見えることもある。イ監督は2人の生き方と、ふたつのパンソリの物語を重ねるような作品作りを考えた。

 さらに「西便制」は消えゆくものに対する切ない思いが描かれていたと感じたイ監督。「花…」は「時代こそ違うけど、現代を生きる人たちも、この映画に出て来る人たちと同じ様な感情を持っているのではないかという想像のもとに、普遍的に描くことにした」。

 チェソン役を演じるのは、K‐POPガールズグループ「miss A」のメーンボーカルとしても活躍中のスジさん。最初、パンソリの唱い手を起用することも考えたというが、この映画で大事なのは「金枝玉葉」。この上なく大切な子(大切なもの)という意味だ。

 「このヒロインは、大事にしても大事にしても足りないくらい貴重な女の子というイメージがあった」。そのイメージがスジさんと重なった。

 スジさんは約1年パンソリの発声を特訓。劇中、吹き替えなしで唱っている。雨に打たれながら発声練習をするシーンの撮影は10時間におよび、スタッフたちに「すごい」と言わしめたほど。「若い女優だったら寒くて辛いから、適当にやり過ごしてすぐに諦めるとか、そういうのがあるけど、スジさんはどんなに大変でも撮影に臨んだ」

 そして、チェソンを命がけで支え、一流の唱い手になるまで厳しく教えたジェヒョ役は、存在感あふれる演技で定評のリュ・スンリョンさん。

 パンソリは、庶民によって育まれてきた伝統芸能のひとつだ。イ監督は初めて聴いたとき「心の根源を、心のなかの本質を揺さぶるものがあるような気がした」と当時を振り返った。そして、韓国人にとってパンソリは「心のなかの故郷、心の母に会わせてくれるようなもの」だと静かに語った。

 ものがたり 朝鮮朝末期。母を亡くした少女チン・チェソンは、偶然にも耳にしたパンソリのヒロインに自らの人生を重ねて感銘し、唱い手になることを決意する。当時は女性がパンソリを唱うことは固く禁じられていたが、諦めきれないチェソンは男性と偽り、大家ジェヒョのもとで修行を積む。ある日、ときの権力者、興宣大院君が主催した宴に危険を冒して臨む。

(2016.4.6 民団新聞)
 
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