| 韓米FTA発効と同時に値下がりした現代自動車の「グレンジャー」
|
5年で関税9割撤廃 世界の投資呼び込む契機 韓国と世界の国内総生産(GDP)の23%を占める米国との自由貿易協定(FTA)が15日に発効すると同時に、韓国は米国にワインやカバンなど9061品目、米国は韓国に自動車など8628品目の関税を即時撤廃した。5年以内に双方とも貿易品目の90%以上で関税を撤廃する。韓国は米国や欧州連合(EU)、東南アジア諸国連合(ASEAN)の世界3大経済圏とFTAを交わした唯一の国で、世界市場の60%以上をカバーすることになり、各国から直接投資を呼び込む「生産ハブ」として注目されている。 韓国企業のUターン現象も FTAの発効当日、李明博大統領とオバマ米大統領は電話で対談し、貿易の拡大を通じた両国の経済発展に期待を寄せた。 李大統領は「高いレベルの協定なので世界の自由貿易の良いモデルとなる。米国経済が回復し、雇用が増えるのは、米国だけでなく世界の経済にとってプラスになる」と評価。オバマ大統領も「発効を契機に両国の投資、貿易、輸出、雇用が増えると期待している。両国民と両国同盟にとっても重要だ」と強調した。 韓国関税庁によると、仁川空港への輸入品目で最初にFTAの適用を受けたのが「プラスチックホース」。従来の関税率8%から0%の免税となった。 韓国内では、米国製輸入車はもちろん、現代「グレンジャー」など国産大型乗用車の価格も100万ウォンほど値下がりした。排気量2000ccを超える乗用車の消費税を10%から8%に引き下げることで合意していたためだ。 懸念された農産物への影響について、農林水産食品部は国内農漁業家に与える影響は限定的だと指摘する。FTA発効で636品目(全体の32・8%)の農水産物の関税が即時撤廃されたが、国内に与える影響は軽微だというのが理由だ。 牛肉の場合、関税40%から発効時に37・3%に下がり、15年かけて関税をゼロにする。この15年間に両国が取り決めた一定輸入量を超過すれば、追加関税を課すことができるセーフガードを発動できる。 ミカン・ブドウ類は韓国の出荷シーズンに関税を上げ、非出荷シーズンに下げる季節関税を適用する。冷凍サバなどの魚類は発効から8年間は現行関税を維持し、9年目から順次撤廃していく。コメ関連16製品はFTAから除外された。 一方、米国は全体の60・2%にあたる1251品目の関税を即時撤廃した。今後、韓国から即席めんやコチュジャン、サムゲタン、キムチなどの輸出増加が見込まれる。米国の農産物市場は15年以内、水産物市場は10年以内に完全開放される。 EU、ASEANに続き、米国への関税障壁が撤廃されたことで、韓国は世界的な企業の「生産ハブ」として注目を浴びている。米国企業は、中国や東南アジアに代わる生産基地として、韓国に目を向け始めた。 円高や電力難を避け、海外進出を検討する日本企業の関心も高まっている。東レ先端素材は、慶尚北道の亀尾工団に炭素繊維工場を建設中で、20年までに1兆3000億ウォンを投資し、世界最大の生産拠点にする。FTAにより世界主要国に無関税で輸出できるメリットと、韓国の主要企業にも納品しやすいことが背景にある。 海外に進出している韓国企業の国内還流投資(Uターン)の増加が予想され、「Uターン」企業向けに補助金を支援するほか、専用産業団地の造成も検討中だ。若年層の失業問題解決に向けた雇用創出に寄与すると見られる。 (2012.3.28 民団新聞) |