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韓日友好の礎を担って
願い託しオリニ教室
伝統文化も積極的に支援
韓国文化院が東京・新宿区四谷の新庁舎に移転して1周年を迎えた。充実した施設と、これまで以上の多彩な行事に関心が高まっている。学生や各種団体、個人の見学者だけでも08年度で680人、09年度では1894人とその数は急激に増加している。「韓国文化院の建物が、この周辺のランドマークになるくらいにしたい」と姜基洪院長は話す。
新庁舎は地下1階、地上8階建て。外壁の緩やかなカーブは、韓国の伝統民俗舞踊「スンム(僧舞)」の長い袖(長衫)の動きをイメージした。夜には角の一画が韓国伝統色の「五方色」(黄、青、白、赤、黒)でライトアップされる。細部にわたって、韓国の伝統を意識した。
多彩な文化事業のなかで、姜院長が力を入れている分野の一つがオリニ事業だ。「小さいころに習ったり、経験したものは大人になっても忘れない。早くから韓国の文化に親しんでほしい」
子ども文化教室(オリニ文化書堂)は、院長就任前から考えていた企画。在日同胞や日本人の子どもたちが一緒に、韓国の遊戯やハングル、童謡などを遊びながら学んでいる。
さらに大事に考えているのが韓国語講座だ。特に土曜日に開かれる上級特別講座は、「一般の語学教室では教えてくれないクラス」。
また、展示場への申し込みは以前と比べて4割近く増えた。文化院では共催や後援という形で施設を貸し出す。展示全体の半数以上は、日本との交流事業になる。1年間でこなせる回数は40回程度。100件前後の申し込みのなかから審査をし、絞り込むのも大変な作業だ。
プログラムも増え、文化院独自のイベントも多数企画した。それでも「韓国の文化を教えるにはまだ足りない」。
韓流の枠組みに入らず、一般的には敷居が高いと思われているものに、国楽をはじめとする伝統の分野がある。「韓国文化の伝統に触れてこそ、初めて韓国の精神を知ることができる」。今後、多くの人たちに理解してもらうために、積極的に支援していくことが文化院の役目と話す。
散逸文化遺産返還も手がけ
今、姜院長が個人的にも関心を示すのが、日本に散逸した韓国の文化遺産だ。99年から、個人的にこれらの文化財の持ち主に働きかけて寄贈してもらい、韓国に戻してきた。文化院院長として、また韓国文化観光部の一員として、「大事な私たちの国の遺産が日本にはたくさんある。大事な遺産を探して、韓国に戻したい」。
これまで宮中遺物44点を古宮博物館(99年)、音楽資料80点を国立国楽院(03年)、在日韓国人が収集した英親王と李方子夫妻の日記や手帳などの遺品680点を含む8項目に及ぶ文化財の返還を手がけた。この事業は今後も続けていく。
移転当時、「上手くいくのか」という不安があった。仕事は増え、いろいろな要求も出ている。限られた職員たちは連日のように残業に追われ、土・日も返上して頑張っている。職員たちに対するねぎらいの言葉が何度も出た。
凍った関係を溶かすは文化
今、韓国と日本の間は一番いい時期だと言われている。だが、歴史認識問題や教科書問題などが起こるたびに、双方の文化事業が取りやめになるほど「両国の関係は凍ってしまう」。
「氷を溶かすことができるのは文化。本当の近隣の国として仲良くなるきっかけを作り、友だちになれるように、私たちは重要な役割を担っている」。韓国文化の前進基地として自分たちの役割を忘れず、日本人が心から韓国が好きになるような仕事を増やすことが、目標だ。
(2010.6.9 民団新聞)
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