ソウルの世宗文化会館で開催された第67周年光復節記念式典

協調精神で再跳躍期そう

　尊敬する国民の皆さん、愛する北韓住民と在外同胞の皆さん！　第67周年光復節をすべての同胞とともに慶祝します。

　国を取り戻すために高貴な人生を捧げた殉国先烈、建国に献身した愛国士、6・25韓国戦争と安保一線で殉国した将兵に頭をたれて敬意を表します。独立有功者と遺家族の皆さんにも感謝と慰労の言葉を申し上げます。

　ロンドン五輪から凱旋したわが選手団と、夜を徹しながら心一つにして応援した国民の皆さんに祝賀と感謝の言葉を伝えます。1948年にロンドン五輪に初めて参加して以来、今回で64年の歳月が流れました。政府樹立前に国民から寄付を募り、船に乗って参加し、銅メダル2個を獲得した、まさしくそのロンドンで今回、世界5位のスポーツ強国になって帰ってきました。

感動与えた五輪選手団

　245人の選手一人ひとりが私たちに大きな感動を与えました。私は大韓民国の国民であることにこの上なく誇りを感じます。これまでわが韓国はスポーツのみならず、諸分野で世界歴史に類例のない、驚嘆させる発展を成し遂げました。不屈の意志で挑戦し、世界の辺境から中心に向けて進入しました。

　産業化と民主化を超えて情報化を実現し、ついに先進国と肩を並べるようになりました。誰かから奪ったのではなく、苦痛に耐え、犠牲を惜しまずに自ら汗を流しながら事を成し遂げた、誇らしい結実です。そのすべてのものを、全身を投げ出して成就した国民の皆さんに限りない尊敬の念を捧げます。

　私は2008年の就任辞で「大韓民国の先進化元年」を宣言しました。そして本日第67周年光復節を迎え、わが大韓民国が堂々と先進国の隊列に並んだことを確認します。植民地の収奪によりボロをまとい飢えた国民、戦争によりすさまじく荒廃した国土、世界で最も貧しかった、この分断された国家が、全国民の血と汗と涙で今日を蘇らせました。

光復精神を発現の伝統

　人は奇跡だと語るが、奇跡ではありません。国が危機に直面するたびに団結し献身する愛国心、いかに貧しくても熱心に学び教える熱意、いかなる苦難にも屈しないチャレンジ精神私はこの3つが世界を驚かせた韓国的発展モデルの原動力だったと信じます。またそれこそまさに私たちの悠久な歴史と文化から発現した光復精神の要諦なのです。

　創造的実用主義ののぼりを掲げ、先進化に向けて駆けて来たこの4年半は、私たちの光復精神が世界の舞台で活発に具現された時期でした。私たちは2008年のグローバル金融危機を世界で最も模範的に克服しました。

　大部分の先進国が08年金融危機以前のＧＤＰ（国内総生産）水準を回復できずにいるのに、私たちは危機以前より10％以上も成長しました。主要国の雇用が08年危機以前の水準に回復した国はわが国とドイツだけです。国家債務比率もＯＥＣＤ（経済協力開発機構）諸国のうち最も良好です。このため、ほとんどの国の信用等級が下がる中で、わが国は2度も上がりました。

援助と奉仕世界隅々に

　今年、大韓民国は世界で7番目に1人当り国民所得2万ドルを超え、人口5000万人を超す国の隊列に並びました。この数年間で私たちは世界舞台の中心に向けて闊歩しながら近づきました。わが歴史で今日のように大韓民国が世界的に注目されたことはありませんでした。

　現在、わが国の海外派遣ボランティア団の規模は米国、日本に次いで世界3位です。数多くのわが国民がアフリカから東南アジア、南米の奥地にいたるまで、世界の隅々で援助と奉仕を実践しています。

　また、私たちは全地球的課題についても責任ある役割を果たそうと主導的に参加してきました。人類の直面する最も重要な懸案のひとつが気候変化です。気候変化に対応する努力の一環として、私たちは世界各国と力を合わせ、グローバル緑色成長研究所（ＧＧＧＩ）を設立しました。

　この数年間で韓国は「より大きな国」になり、私たちのグローバルリーダーシップはいっそうの広がりを見せました。

　現在直面しているグローバル危機を克服するのに、政府の力だけでは足りません。企業をはじめとするあらゆる経済主体の協力が切に望まれます。企業人は萎縮することなく、投資と雇用を継続して増やすべきです。誰もが困難な時こそ果敢に投資する企業のみが、再び景気が回復した時にその恩恵を受けることができ、跳躍を期待することができます。勤労者の協力もまた大変重要です。

　愛する国民の皆さん！

　国民の所得は良くなりつつあるものの、両極化問題が浮上しています。指数上は08年以降、階層別格差が改善されてはいますが、庶民や中産層が体感する生活は依然として困難が多く、国民個々の生活の質もまた、国力伸長に比べて遅れをとっているのが現実です。

多様な価値積極受容を

　若者向けの良質な雇用も不足しています。この問題の解決策を見いだすことが全世界の指導者の最大関心事となっています。私自身、誰よりもこの問題に重い責任を感じています。

　昨年、私は「共生発展」を国政目標に提示しました。「共に進む未来」をつくっていくことが、この時代の切迫した課題です。グローバル経済の危機により両極化の溝が深まりつつあり、いまや共生発展なしには「持続可能な成長」も不可能です。

　成長してこそ福祉があり、雇用も生まれます。未来のスマート社会では、創意力が成長の最も大きな動力であり、競争力です。創意力が思う存分発揮されうる社会的インフラを備えることは容易でないが、成長を持続すべき私たちにはどうしても欠かせません。

　社会全般の創意的潜在力を培うためには、同質性より多様性がいっそう重要です。画一的な「類似」より、調和のとれた「違い」が創意と革新のさらに良い土壌になるからです。

　わが社会にはすでに140万人余の外国人が私たちとともに暮らしており、今後、急速に増えていくでしょう。多文化時代に私たちが未来に向けて進むのであれば、純血主義を超えて多文化社会の価値を積極的に受け入れなければなりません。

平和統一が究極的完成

　8000万同胞の皆さん！

　南北関係が持続的に発展するためには、南と北が正常な関係の土台のもとに立つべきです。これまでわが政府の対北政策は一貫してこのような認識に基盤をおいてきました。外部的に現れる様相とは異なり、その間の原則的な対北政策は実質的に相当な効果を現わしはじめたと評価します。

　いまや北韓も現実を直視し、変化を模索すべき状況を迎えました。私たちはその変化を注意深く見守ります。韓半島の非核化は、南北はもちろん6者会談の合意のみならず、安保理決議にともなう国際的義務として必ずや守られなければなりません。

　そうなれば、私たちは国際社会とともに積極的に協力する準備ができています。私たちは一方で、北韓住民の人道的状況に留意しながら対話の門を開いています。光復の究極的完成は平和統一にあります。そして統一韓国こそ「より大きな大韓民国」の跳躍台です。今後、政府は共存共栄の道を開く努力に加え、統一の準備も着実に推進していくつもりです。

日本は重要パートナー

　日本は私たちの近い隣人であり、体制的価値を共有する友邦であり、未来をともに開くべき重要なパートナーでもあります。しかし、私たちは日本との過去の歴史にまつわる鎖が韓日両国だけでなく、東北アジアの未来に向けた歩みを遅らせているという事実を指摘しようと思います。

　特に、日本軍慰安婦の被害者問題は両国の次元を超えて、戦時女性人権問題として人類の普遍的価値と正しい歴史に反する行為です。日本の責任ある措置を促します。

　わが大韓民国もより大きな次元から、隣国や国際社会に対して寛大かつより積極的に協力していくでしょう。それが、世界中心国家の一員に成長した私たちがグローバル・ネットワークを管理し、発展させていくために備えるべき、成熟した姿勢でありましょう。

　新しい地平を開くためには何よりも創意的発想が必要で、未来を見通す知恵と包容的協力精神がなければなりません。その土台のもとに未来の準備を進め、世界をリードする先頭走者の役割を担っていくには、いま一度夢と情熱を燃やさなければなりません。

　成功の歴史を超えてさらに高く跳躍すること、世界標準を受け入れながら世界標準を新たに樹立する国、自負心を基盤に世界に寄与する品格の高い国、国土は小さくても国格の大きな国、そのような国をつくることがわが国民と私に与えられた、歴史的天命だと考えます。私はわが国民を信じます。わが国民はできます。不可能を可能に変えながら、いま一度新たな歴史を創造することができます。

（2012.8.29　民団）