第85回全国体育大会(韓国国体)が10月8日から14日まで、清州市と忠清北道一円で開かれた。在日同胞選手団(朴安淳選手団長=選手役員111人)は、テニス、サッカー、ボウリング、ゴルフなどの海外同胞種目をはじめ、水泳、柔道、射撃の一般競技と高校女子バレーボール、剣道の体験2競技を含む11競技に出場し、金9、銀2、銅2の合わせて13個のメダルを獲得し、14カ国の海外同胞で競う「海外同胞の部」で2年連続総合優勝を果たした。来年の第86回大会は蔚山広域市とその一円で開催される。
テニスで勢いづく 今大会、在日同胞選手団最初のメダルは大会2日目(9日)に行われたテニス。男子シングルス、同複式、総合の全種目を独占した。 この日、海外同胞の部・テニス男子シングルスの李興雨選手と同ダブルスの李興雨、姜秉允組がそれぞれ優勝、総合でも金メダルを獲得し3種目を総なめにした。00年全日本大学室内選手権で優勝経験のある李選手は1回戦6‐0、2回戦6‐1と圧倒的な強さを見せ順当勝ち。決勝戦では香港同胞の金スンヨンを8‐0と完勝し堂々の金メダルを獲得した。勢いに乗り、ダブルスでも決勝戦でライバル在米国同胞を8‐3と圧倒した。 韓国国体に初めて出場した李選手の故郷は今回の開催地、忠清北道の大田市だ。小学校は韓国で育ったこともあり、「なつかしい故郷の地で活躍でき感激。全日本大学で優勝したよりもうれしい」と笑顔たっぷりに語った。 |
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サッカーが雪辱
テニスの活躍で在日同胞は、他の種目にもその勢いが乗り移った。種目の中でも人気が最も高いのはやはりサッカー。3年ぶりの復活となった昨年、優勝の期待が高かったが準決勝で在米同胞に1‐2で涙を飲んだ。今年はシードとなり、準々決勝からのスタート。初戦の相手、在豪州同胞チームに苦戦しながらも1‐0と撃破、在米同胞との準決勝では、2‐0と圧倒し、昨年の雪辱を果たした。 初出場の在カナダ同胞との決勝戦では、攻守に勝る在日同胞が2‐0で勝ち、00年釜山大会以来の優勝を飾った。 Kリーグの目に 準決勝で25メートルの華麗なFKで先制点を決めた梁秀誠君は、サッカー留学生が多いドイツや米国、豪州同胞選手を目当てに試合会場を訪れていたスカウトの目に止まった。決勝戦の翌日、そのままKリーグチームのテストを受けることになり、在日同胞選手たちの夢を膨らませた。
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金メダル量産 男女あわせて8個の金メダルを競うボウリングでは、女子個人の孫裕充子、男子個人の金晃男がアベック優勝したのをはじめ、女子団体3人戦、同5人戦、総合で金メダルを獲得、金5、銀2、銅1とメダルを量産。 |
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ゴルフは無念の銅 昨年、ホールインワンなども飛び出し、金メダル3個を獲得したゴルフは故障者続出。昨年の王者、孫永基が最終日にくずれ惜しくも3位にとどまった。 また、久しぶりにエントリーした陸上でも高校男子110メートルハードルの徐泰治君(神戸市)が予選2位で決勝に進出、メダルこそのがしたが6位入賞を果たした。 |
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■□ 今大会に参加した在日同胞選手の約半数は初出場。3世や4世が多く、母国でプレーできたことを人生の大きな財産にしたいという声が多かった。 ▽ハングリー精神痛感 陸上高校男子110ハードルで自己新を出し6位入賞した徐泰治君「最大の目標だったインターハイに行けず落ち込む僕に韓国国体出場のために東奔西走してくれた父に心から感謝したい。このようなすばらしい国体に参加でき幸せ者です。韓国の選手のようにハングリー精神を持って自分を磨いていきたい」 ▽感動の経験を今後に PKを阻止するなど3試合無失点で優勝したサッカー代表の守護神、李海健君「韓国国体の規模の大きさと盛り上がりに驚いた。ここでの出会いと経験をこれからの人生に役立てていきたい」 ▽人生の財産に 2得点を決めたサッカー代表の元昌勝君「韓国国体初参加で緊張したが、チームメートとすぐとけ込み、のびのびとプレーできた。そしてすばらしい仲間たちと出会えたことを人生の財産にしたい」 ▽多くを学んだ 惜しくも判定負けしたボクシングの河成佑君「試合に負け悔しいですが自分の弱点と不足している部分を見つめ直す良い機会となった。技術をさらに磨きもっと強くなりまた参加したい」
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■□ 「海外同胞の部」で総合優勝を果たした朴安淳・在日同胞選手団長は日本生まれの在日2世。清州市が故郷で、滞在期間中、2年前に他界したアボジが眠る墓を訪れ、優勝の報告を行った。 学生時代はバスケットボール選手として活躍、40年ほど前、韓国国体にも参加し多くのスポーツ仲間たちと知り合った経験を持っている。 「成績よりも日本で育った同胞青少年たちが母国の地でのびのびとプレーし、スポーツマン同士ふれあってくれることだけを願っていた」と、後輩たちのスポーツを通じた祖国とのふれあいを強調しながら、「時代は変わりつつも、全国にはまだまだ優秀な同胞選手が埋もれているはず。一人でも多くの優秀選手を発掘し、母国の大舞台でプレーさせてあげたい」。 大役を終えた安堵感の奥に次世代たちへの新たな期待感をのぞかせた。 (2004.10.20 民団新聞) |