大半が初参加…3・4世ら、感動と自信胸に新たな成長

 

海外同胞の部で総合優勝を果たし、優勝カップを高々と掲げ、ガッツポーズする鄭進・在日同胞選手団長

第84回全国体育大会(韓国国体)が10月10日から16日まで、全州市と全羅北道一円で開かれた。在日同胞選手団(鄭進選手団長=選手役員106人)は、3年ぶりに復活したサッカーをはじめ、水泳、ゴルフ、テニス、テコンドーなど体験3競技を含む11競技に出場し、13カ国の海外同胞で競う「海外同胞の部」で2年ぶりに総合優勝を奪還した。

 在日同胞はホールインワンも飛び出すなどゴルフが大活躍を見せ、金メダルが2個、銅メダル8個で奇跡的な逆転総合優勝を飾った。

 来年の第85回大会は忠清北道・清州市とその一円で開催される。

 

 

 
開会式でスタンドに大きく手を振って入場行進する在日同胞選手団(10月10日、全州W杯スタジアムでの開会式で)   初参加の在日同胞選手も多くそれぞれ「華やかな開会式に感動した。一生忘れない」と話していた


◆ホールインワンも

左・ホールインワンを達成した孫永基選手
右・ゴルフでは個人、団体で金メダルを獲得し、海外同胞総合優勝に導いた(写真は左から申昌俊、金浩延、孫永基)

一時はメダル獲得が伸び悩み、総合3位さえも危ぶまれた在日同胞だったが、この状況を救ったのがゴルフだった。

 最終日にゴルフが金メダル2個を追加し、総合ポイントを前日まで首位だった在米同胞を僅差で逆転した。

 在日ゴルフ協会関東本部(徐正一会長)の選手選抜が見事だった。今年6月に行われた全日本クラブチャンピオンズ報知アマゴルフ選手権王者の金浩延さん(33)と同大会4位の孫永基さん(30)を選抜した。

 栃木県宇都宮市生まれの金浩延さんは13歳でゴルフを始め、米ミネソタ州の高校に留学して腕を磨いた。ハンデは1。

 孫永基さんは神奈川・海老名市生まれ。高校からゴルフを始め、神奈川大では関東学生などに出場。卒業後も腕を磨き、現在のハンデは2。ベストスコア63。

 2人とも韓国国体は初体験で、多少緊張こそしたものの「ウリマルを少し勉強し、自分のゴルフをするだけ」と、落ち着いたプレーを見せた。金と銅を独占し、団体優勝にも導いた。とくに孫選手はホールインワンを出す快挙を見せた。

 ゴルフは競技場の関係で宿所が選手団本部とは別だった。

 「在日どうし出会う場が少ないだけに他の競技選手との交流がしたかった。来年もぜひ参加し今度はそれを果たしたい」と話していた。

 

◆3年ぶりのサッカー…人気はナンバー1

3年ぶりの復活となったサッカーは準々決勝で豪州同胞に4−0で大勝し、波に乗りかけたが米国同胞との準決勝では不運な自殺点で1−2と惜敗した

 3年ぶりの復活となったサッカーも注目された。ワールドカップの翌年とあって人気も高く、試合会場に参観団や本部役員の他、地元女子大生ら約300人の大型応援団が構成された。

 優勝の期待が高かったが雨中決戦となった準決勝で在米同胞に1−2の僅差で敗れ、3位にとどまった。

 また、国内種目で堂々メダルを獲得したのは水泳だ。朴希代子さんが昨年に続き、女子400mメドレーで銅メダルを獲得した。

 

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母国の大舞台でのびのびプレー
スポーツ通じ同胞の絆深めた選手達

 今大会参加した在日同胞選手の約半数は初出場だ。3世や4世が多く、母国の大舞台でプレーできたことに新たな決意を感じたようだ。

◆自信バネに成長

親善試合ながら、韓国の強豪と互角以上の戦いを見せた建国高校女子バレーボール。本選出場を実現させたい

 体験参加だった建国高校女子バレーボールの主将を務めた崔恵理さん(高3) 「スポーツを通じ同じ韓国人と出会えたことにが何よりうれしかった。

  強豪相手に3勝1敗は大きな自信となった。韓国国体を通じて自分自身が一歩前進というか、何か成長したような気がした」。

 


初出場ながら銅メダルを獲得したテニスの金晃宏選手

◆緊張の中に感動

 初出場ながら銅メダルを獲得したテニスの金晃宏君

   「少し緊張したがすばらしい経験になり、感動した。来年も是非参加し必ず優勝する」。

◆在日として責任感

 銅メダルを獲得したサッカー代表最年少の李英基君(19) 

  「在日代表としての責任感を感じた。レベルの高い先輩たちとともに過ごせて、人間として、そして選手として成長していくことを実感できた」


◆めざすは韓国代表

「夢は韓国代表で世界王者」と体験参加となったフェンシングの文孝光君

フェンシングの文孝光君(高3) 文君は日本の高校選手権王者で帰化の誘いを断っての体験参加。韓国国体優勝選手との親善マッチでは惜しくも9−15で惜敗。「このような機会をくれた皆さんに感謝したい。いつか韓国で優勝し、そして韓国代表として世界王者になりたい」と夢を膨らませていた。

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スポーツが与えた感動…誰も言葉はいらぬ

◆鄭進団長の話

 3度目の選手団長を故郷(全羅北道)での国体で務めることができ、大変光栄だった。
 在日同胞青少年の民族教育が叫ばれて久しいが、今年参加した3・4世たちにとっては、スポーツを通じて母国と同胞にふれあい、韓国人としてのプライドと喜びを覚えたようだ。

 がむしゃらなこの子たちのプレーを見て、涙が出る思いだ。言葉なしに感動させてくれたスポーツは本当にいい。

 全国にはまだまだ優秀な同胞選手が埋もれているはず。今後、一人でも多くの在日青少年スポーツ選手を発掘・育成し、母国の大舞台でプレーさせてあげたい。そのためにも体育会と民団が一体となって最大の努力をしていくべきだ。

国内種目で唯一メダルを獲得した水泳女子の朴希代子

 

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在日同胞の獲得メダル

◆金メダル
ゴルフ 個人 金浩延
団体 金浩延
孫永基
申昌敏

◆銀メダル
ゴルフ 個人 孫永基
サッカー 男子  
テニス 男子単式 金晃宏
男子複式 金晃宏、姜秉允
ボウリング 女子個人マスターズ 朴祥子
男子5人団体  
女子5人団体  
水泳 女子一般400m個人メドレー 朴希代子


在外同胞 上位10チームのメダル数と得点

順位 海外同胞選手団
メダル数
得点
海外同胞種目
国内種目
サッカー
テニス
ボウリング
ゴルフ
柔道
水泳
乗馬
1
在日同胞
2

-

8
10
3,461
590
500
605
1,706
7
53
-
2
在米同胞
2
4
3
9
3,332
760
747
476
1,307
-
-
37
3
在フィリピン同胞
-
4
-
4
1,812
-
207
767
836
-
-
-
4
在豪州同胞
1
1
-
2
1,740
250
747
-
743
-
-
-
5
在ドイツ同胞
1
-
-
1
1,738
920
-
168
650
-
-
-
6
在サイパン同胞
2
-
-
2
1,554
250
209
724
371
-
-
-
7
在グアム同胞
1
2
-
3
1,505
250
209
767
279
-
-
-
8
在香港同胞
2
3
5
1,295
250
500
452
93
-
-
-
9
在ニュージーランド同胞
-
-
1
1
1,054
590
-
-
464
-
-
-

10

在ブラジル同胞
-
-
1
1
969
-
-
-
969
-
-
-