掲載日 : [23-02-01] 照会数 : 1090
韓国にある土地の名義と税金について
Q:韓国にある土地の名義と税金について
済州道に私の名義の土地があります。この10年ほどは、韓国にいるいとこが税金を払いながらこの土地を使用していました。つねづね気にかかっていたことをお尋ねしたいのですが、いとこが勝手に所有者の名義を変更することはできるのでしょうか? また、日本にいながら私が税金を支払うことはできますか?
A:韓国法上、不動産の所有権移転登記(名義変更)は、原則として登記権利者(新所有者)と登記義務者(元所有者)が共同で申請する必要がありますので、いとこが単独で所有権移転登記を行うことはできません。もっとも、いとこの方は長期間土地を使用し、税金も払っているとのことですので、時効取得を主張して単独で所有権移転登記を試みる可能性があり、この点を検討する必要があります。
韓国民法は、「20年間」、「所有の意思」で、「平穏・公然」に「不動産を占有」する者に、不動産の所有権の時効取得を認めています(韓国民法245条)。したがって、いとこの方もこの要件を満たせば、あなた名義の済州道の土地を時効取得したとして、単独で所有権移転登記を行うことが可能です。
本件の場合、いとこの方は固定資産税等を支払い、所有の意思で平穏公然に、不動産を占有していると認められる余地はあるものの、現時点では「20年間」の要件を満たしていません。しかし、このままの状態が続けば、いとこの方が占有を始めて20年が経過した時点で、あなた名義の土地がいとこのものになってしまう可能性はあります。そこで、いとことのあいだで賃貸借契約書や使用貸借契約書を作成するなどして、いとこが「所有の意思」で土地を占有しているものではないことを明らかにする証拠を作成しておくことが望ましいでしょう。
次に、韓国で不動産を保有する場合、韓国の税法に基づき総合不動産税(国税)と財産税(地方税)などが賦課されます。韓国に居所を置いている場合には管轄税務所に直接税金を支払うことが可能ですが、韓国に住所または居所を有してない場合には、納税管理人を定めて管轄税務署にその届出を提出した後、その納税管理人を通じて韓国の税金に関わる事務を処理させる必要があります(韓国国税基本法82条1項、地方税基本法135条1項等)。
なお、納税管理人の資格については特に制限がありませんので、弁護士や税理士のような専門家に限らず、韓国に住所を有する親族や知人を納税管理人として定めることも可能です。