掲載日 : [18-06-04] 照会数 : 13745
川崎市でヘイトスピーチ集会阻止「人間の鎖」
[ 集会参加者の入場を妨げるため、川崎市教育文化会館入り口で座り込む抗議の市民 ]
[ 集会参加者に向けて抗議する市民 ]
【神奈川】川崎区の川崎市教育文化会館で予定されていたヘイト集会が3日、市民5百人余りの抗議行動のため「延期」に追い込まれた。
この日の抗議行動には、市がヘイトスピーチ目的での会館の利用を制限するとした「ガイドライン」に基づく審査を行わず、市長自らの判断で利用申請を許可したことへの抗議の意味合いも含まれている。
ヘイト集会が予定されていた2時間ほど前から市民が会場に集結しだした。
抗議行動を呼び掛けてきた市民団体「ヘイトスピーチを許さない市民ネットワーク」はあらかじめプラカードを用意していたが、独自に用意した市民も多かった。
なかには「生きる権利に国境はない」「福田市長はヘイト被害から市民を守る立場に立ってください」というものも。
そもそもの発端は、市が、ガイドラインの適正運用を求める市民の要請に耳を傾けず、集会申請に福田紀彦市長が「ヘイトにあたらない」と独自に判断したことによる。
抗議行動に駆けつけた民団東京・大田支部のある役員は「どこからか圧力があったのではないか」と推測していた。
正式な抗議行動は集会会場が開場する13時から始まった。
会場入り口では一部の有志が座り込み、集会参加者の入場を実力で防いだ。
集会参加者と思しき人が会場近くに現れると、「レイシスト、帰れ」、「ネットウヨ、帰れ」のコールが一斉に起きた。
一方、集会主催も「集会こそ人権」と記したのぼりを立て、拡声器を手に「通せ」と繰り返し叫んだ。会場周辺は神奈川県警が警備にあたり、一時騒然となった。
この間、集会会場は開会予定の14時を過ぎても閑散としたままだったという。
14時45分、集会主催者が、講演の弁護士が会場に入れなかったとして開催を「延期」したことが伝えられると、会場を取り囲んだ抗議集団から安堵の拍手が起きた。
現場で「勝利集会」
ヘイト集会の「延期」がわかると、抗議行動の現場で勝利集会が行われた。
参議院議員の有田芳生さん(立憲民主党)はマイクを握り、いまだ会場内に残っている集会参加者に向けて「君たちがなにしようとも、君たちの居場所は日本に存在できまいことを自覚すべき」と呼びかけた。
地元川崎市議会の飯塚正義市議(民主党)は「一定の勝利」を喜びながらも、福田市長が第三者機関に判断をゆだねることなく、集会を許可したことを批判した。
この日はヘイトスピーチ対策法が施行されて2年の節目。
集会参加者がこの日を選んだのは、対策法と市民団体の目指す人種差別撤廃条例制定の動きに冷水をかけるのが目的だったと見られる。