
中央本部(金利中団長)と中央人権擁護委員会(趙龍済委員長)、三重県本部(洪光子団長)は1月27日、三重県庁を訪れ、一見勝之知事が昨年12月24日に「県職員採用に際し国籍要件を復活させ外国人採用を取りやめる方向で検討する」と打ち出したことに対し、「検討そのものを撤回すること」を強く求める要望書を連名で提出した。民団は1970年代以降、権益擁護運動を全国的に展開し、地方公務員採用時の国籍条項の撤廃を勝ち取ってきた経緯がある。この度、三重県が検討するとしている「国籍要件の見直し」は、「多文化共生社会」に逆行するばかりでなく、民団がこれまで獲得してきた運動成果を無に帰しかねない動きと見られている。今年に入り地元自治体や関係各方面から撤回を求める声が相次いでおり、三重県の動向に注目が集まっている。
一見知事にあてた今回の要望書で民団は、三重県が1999年度以降に採用した外国籍職員は、「『内なる国際化』を体現する重要な役割を担ってきた」としたうえ、三重県の取り組みは「全国的にも先進的な事例として評価されてきた」と指摘。秘匿性の高い情報の流出防止を理由として、外国籍職員を一律に対象とする国籍要件の復活を検討することは「外国籍住民を潜在的なリスクとして扱う印象を社会に与えかねない」と憂慮を示した。民団三重県本部は昨年12月26日、他団体に先駆け「外国人住民に対する不信や排除のメッセージを社会に与えかねない」とする談話を発表していた。
全国の地方自治体職員らで組織する労働組合・自治労の伊藤功書記長は1月6日、「ただちに撤回すべきだ」とのコメントを発表。「地方自治体の長が(差別やヘイトスピーチに)迎合することは極めて不適切」と厳しく指摘した。1月9日には弁護士らで構成する東海労働弁護団、自由法曹団三重支部、青年法律家協会三重支部の三団体が、反対の共同声明を一見知事に提出した。
三重県下自治体にも検討の撤回を求める声が広がっている。今年から外国人採用枠を新設している伊賀市の稲森稔尚市長は「新たな分断と不信感をもたらす」と、検討の撤回を求め、名張市の北川裕之市長は「多文化共生に逆行する」と批判し、名張市としては外国人職員の採用を続けるという。鈴鹿市の末松則子市長、桑名市の伊藤徳宇市長も外国人職員の採用を継続すると言明。
県庁所在地で正規職員など約30人の外国人職員が在籍する津市の前葉泰幸市長も「今後も変えるつもりはない」と言う。松坂市の竹上真人市長は、20人の外国籍者を採用している市として「何ら不都合はない。変える必要はない」と述べた。
一見知事は「多くの団体からの意見にも耳を傾けて判断していく」とし、県は2月16日まで行われている県民1万人アンケート結果を踏まえて最終決定する予定という。