「永住資格取消条項の削除を求める緊急集会」声明文

  • 集会で意見を述べる河隆實団長

現在、参議院では、税金や社会保険料を滞納した場合や、1年以下の懲役・禁固刑を受けた場合等に、「永住者」の資格取り消しが可能となる法案を含む入管法改定案が審議されています。

この入管法改定案は、政府が今国会で成立を目指す「育成就労制度」の導入や「特定技能制度」の職種拡大に伴い、「永住者」が増加することを予測し、永住資格許可の適正化を求めたものであるとされています。

しかしながら一方で、永住資格取消条項が導入されると、安定的な在留資格であるはずの約89万人もの永住者の地位を不当に脆弱かつ不安定にするものであると言えます。

さらには日本政府が目指すとされる「共生社会の実現」に逆行するばかりか、外国人に対する偏見や排外主義の台頭に繋がりかねません。

現在、日本には、歴史的な背景により居住するに至った「永住者」や、また、生活上の様々な事情により、日本に余儀なく居住するに至った「永住者」、さらには日本で生まれ日本語しかわからない2世、3世の「永住者」が多くいます。

この法案が通過するならば「永住者」とその家族は、常に永住資格取り消しに怯える日々を永久に過ごすことになります。それは永住者とその家族が、この社会の一員、市民ではなく、いつでも疎外されうる極めて脆弱で差別が当然とされる立場に追いやるものです。

立法事実も提示されず、有識者会議でも全く検討されないままに、なぜ日本政府は拙速に入管法改定案に永住資格取消条項を導入するのでしょうか。

ましてや国または地方公共団体の職員が入管庁へ通報できる制度まで創設するというのは余りにも過度な取り締まりだと言わざるを得ません。

日本国憲法では法の下の平等が明記され、日本が批准している国際人権規約では労働者の権利や社会保障を外国人にも等しく保障するよう求めています。このような人権の原則に反するような制度づくりは許されることではありません。

以上の趣旨により、本日ここに参集した私たちは、この度の日本政府の入管法改定案の永住資格取消条項が「永住者」の生活、人権を脅かす重大事案と認識し、入管法改定案から永住資格取消条項の削除を強く求めます。

2024年 6月 6日
在日本大韓民国民団中央本部
団 長 金 利 中

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