掲載日 : [23-08-25] 照会数 : 3701
生活相談センター所長金昭夫さん、茨城・筑西市に「金嶋昭夫基金」を創設
【茨城】在日韓国人2世の実業家、金昭夫さん(76、金嶋観光グループ会長)は8月24日、筑西市で社会福祉法人慶育会(中山公実理事長)が運営する児童養護施設「茨城育成園」に自身の名前を冠した「金嶋昭夫基金」を創設し、現金1000万円を寄託した。同園は基金をもとに成人を迎えた入所者の新たな門出を祝い、一人5万円程度の激励金を手渡すことにしている。
金さんは筑西市の前身、下館町で生まれた。父は仕事に身が入らず、毎日のように酒に溺れる毎日。時には必死に生活を下支えしている母を殴るという「DV家庭」だった。いたたまれず、母は無理心中を図ろうとした。金さんが小学校3年生の時だった。
幸いにも未遂に終わったが、金さんには忘れられない心の傷として残った。「もしかしたら母を失い、私自身がその孤児院に入っていたかもしれない」と。この原体験が金さんを社会奉仕に駆り立ててきた。
「茨城育成学園」の創立者は中山理事長にとっては祖父にあたる在日1世の李季相氏。日本の終戦から間もない1950年5月5日、「せめてご飯だけでも食べさせてあげたい」と、日本人の戦災孤児一人を引き取ったのが始まり。現在の入所者は34人を数える。
こうした経緯から筑西市としても金さんが基金を創設するにふさわしいと推薦した。金さんは茨城育成園の沿革を聞いてびっくりしつつも、このめぐりあわせを喜んでいる。中山理事長は成人を迎えてのお祝い金は「あげたら励みになる」と話している。
金さんは昨年、東京・新宿の児童養護施設「あけの星学園」に第1号の基金を創設したばかり。これからも全国に支援の手を差し伸べていくことにしている。ちなみに来年は島根県を視野に入れているという。