掲載日 : [23-10-27] 照会数 : 3119
関東大震災から100年「虐殺を認め謝罪を」人権セミナーで声明
[ 韓国中央会館で開かれた第5回人権セミナー ]
[ 主催者とパネリストが祭祀に参加し犠牲者を弔った。 ]
民団中央本部人権擁護員会(李根茁委員長)は23日、東京・港区の韓国中央会館で第5回人権セミナーを開催。関東大震災から100年を迎え、あらためて関東一円での朝鮮人虐殺の真実を検証した。
背景には日本政府自ら都合の悪い歴史を隠蔽し、無かったことにしようという歴史修正主義への危機感がある。セミナー終了後には朝鮮人虐殺の事実を認め、速やかな謝罪を求める声明を発表した。
セミナーを共催した在日韓国人法曹フォーラムの殷勇基会長は法律家の立場から「事実認定の努力がなければ、関東大震災時に朝鮮人虐殺はなかったとあいまいにされてしまう」と開催趣旨を説明した。民団中央本部の呂健二団長は「不幸な歴史をバネに、新しい歴史を切り拓いていくのが民団の役目」と述べた。
パネルディスカッションでは神奈川、千葉、埼玉で地道な聞き取りを重ね、各地の実情を浮き彫りにしてきた市民研究者が報告に立った。
横浜市での虐殺が43件、傷害1件だったことを新史料で明らかにし、ゼロという旧司法省の定説を覆した山本すみ子さん(関東大震災朝鮮人虐殺の事実を知り追悼する神奈川実行員会代表)は、100年間も「目下調査中」を繰り返してきた日本政府の「無責任体制」を糾弾。神奈川県知事と横浜市長には事実の確認を迫っていくという。
埼玉県では9月3日から警察と各町村の自警団が多数の朝鮮人を県南部から中山道沿いに群馬に向けて駅伝のように連行していく途中、全体で223~240人が自警団によって虐殺されたとされる。日朝協会埼玉県連合会の関原正裕会長は、埼玉県内務部長が震災翌日の2日、郡町村長に宛てた「移牒」(通知文)
が「戦闘命令」になった可能性に言及、「流言蜚語より早い可能性があり、見逃してはならない」と強調した。
「追悼・慰霊を続ける」
78年以来、千葉県で地域調査・追悼・慰霊の活動を続けている平形千惠子さんは「地域で調査、追悼・慰霊祭を続け、次の世代に伝えていく」と決意を新たにしていた。
基調講演では金沢大学人間社会研究域准教授の原祐介さんが、関東大震災「9・1虐殺」に関しては最も重要な文学者として江馬修を取り上げ、代表作の「山の民」や証言文学「奇蹟」を分析しながら「そもそも朝鮮人は虐殺されてもしかたないとするメンタリティーが残存しているのではないか」と警告を発した。
開会にあたり主催者とパネリストが祭祀に参加し、亡くなった日も分からない犠牲者を弔った。