一千万都市、ソウル。高層ビルが林立するこの町は、朝鮮王朝500年の都だった古都でもある。景福宮、昌徳宮など旧王宮は観光客で賑わうが、歴史の足跡は町の処々に刻まれている。町を歩けば歴史の語り部との思わぬ出会いが待っている。路傍に置かれた史跡表示の碑石のことだ。 参鶏湯の老舗、体府洞の「土俗店」からの帰り道、大通り沿いに世宗大王生誕地の碑を...
リンゴ畑を見ながら聞慶に着いた。目指すは町はずれのセジェ。鳥も越えるのが難しいとされた峠道。鳥嶺とも呼ばれ、慶尚道方面を嶺南と言うのはこの峠より南の地域だからだ。峻厳な難所として天下に名高く、交通はもとより、流通や防衛を含め、朝鮮随一の要衝の地であった。 多くの人々がこの峠を越えた。都鄙を往復する官吏、褓負商と呼ばれた行商人の隊列、日本...
どの国の歴史にも英雄がいる。韓国(朝鮮)の長い歴史を俯瞰した時、この人も間違いなく五指に入るであろう。新羅による三国統一の牽引者、金庾信将軍(595〜673年)‐。金春秋(武烈王)の外交がいかに卓越したものであれ、戦場で敵を倒し覇権を広げたのは、この人の功あればこそであった。 新羅の古都慶州は、この不世出の英雄の記憶を今も...
蔚山から南下して1時間、田舎道でバスは止まった。案内板に従って進み、農家の裏手にまわって驚いた。山の頂きに向け石垣が一直線に伸びている。登り石垣と呼ばれる独特な築城方式だ。 西生浦倭城‐。壬辰倭乱(文禄慶長の役)の際、秀吉軍は朝鮮南岸に30を超す城(倭城)を築いたが、その中で最大規模となる。1593年に加藤清正が築城し、海抜133㍍の山...