掲載日 : [2016-02-10] 照会数 : 4943
偏見や差別を超えて…「新宿区多文化共生実態調査」から
互いの文化知ることで 外国人
習慣の違いを認めあい 日本人
外国人居住数が3万8000人(区民全体の約11%)と東京都内最多の新宿区が、区内の外国籍者と日本人を対象にアンケート調査を行い、その結果をこのほど、「2015年度新宿多文化共生実態調査」報告書にまとめた。新宿区はこの調査結果を分析し、さまざまな国籍・民族的背景を持つ区民が暮らしやすいまちづくりをめざしていく。同様の調査を07年度にも行っている。
外国籍、日本人住民とも質問の柱は1,同区での暮らし2,日常生活でのトラブル3,多文化共生のまちづくりに向けた区への期待など。
まず、暮らし。外国籍、日本人住民ともこのまちに住み続けたいという定住志向は約7割。「ずっと」「当分の間」を合わせると、外国人で68・2%、日本人は77・2%と高い。
日本人の6割強は「通りで外国人をよく見る」と答えるなど、身近に外国人が多くなったと感じている。近隣に住む外国籍の存在については比較的寛容。「好ましい」(22・1%)が「好ましくない」(16・9%)をやや上回った。
ただし、近所に外国人が住むことで「ゴミの出し方が悪くならないか心配」、「部屋から大きな声や物音がしないか心配」とする声が、「外国の文化に触れる機会が増える」と肯定的に受け止める声をやや上回った。
一方、外国人が日本人から偏見・差別を感じるのは、「家を探すとき」が5割強と最も高かった。次いで「仕事のとき」が3割台半ば、「公的機関などの手続きのとき」は2割台半ばだった。
偏見や差別をなくすために必要なこととして、外国人の半数が「お互いの文化を知る」(54・0%)ことを挙げた。「互いの生活習慣の違いを認め合う」も約5割。日本人は「お互いの生活習慣の違いを認め合う」(50・7%)が最多。「お互いの文化を知る」も48・3%と5割近かった。
最後に区への期待として、「日本人も外国人も共に認め合い、協力し合う暮らしやすいまち」を望んでいた。この回答は外国人で8割弱、日本人も6割弱で最も高かった。
調査は住民基本台帳から無作為抽出した外国人と日本人の計7000人を対象にアンケートを送付。2200人から回答を得た。
これとは別に、個人、商店会や外国人支援団体にも多文化共生のまちづくりに向けての方策についてインタビュー調査を実施した。
ある日本人の大学生(20歳代)は、多文化共生のまちづくりに向けて、「見知らぬ土地で何もわからない外国人を思いやり、少し気づかって声をかけてあげることが大事」とした。同じく大学院生(20歳代)も、「日本人と外国人の間に少なからずある差異を解消するためには、絶えずコミュニケーションをとる必要がある」と指摘している。
一方、民団新宿支部はインタビューで、区と韓国ソウル市中区との姉妹都市関係締結を要請。また、在日本韓国人連合会は地域清掃「クリーン活動」への支援を求めた。
(2016.2.10 民団新聞)