韓国の文学者で古典詩歌の研究者、李妍淑・東義大学国語国文教授(56)が、09年から現存最古の歌集『万葉集』の韓国語完訳に取り組んでいる。
韓国で初めて『万葉集』の翻訳を手がけたのは故金思博士だが、全20巻のうち16巻の一部までの翻訳だった。李教授は全20巻の完訳を目指している。すでに『韓国語訳 万葉集』(東西出版)で1〜3巻を刊行した。
李教授は1981年、比較文学の博士課程に進むため東京大学に留学した。そこで膨大な『万葉集』に接し、「うらやましくもあり、ぜひ紹介したいと思った」という。
韓国は日本に比べ古歌の基礎研究が遅れていると指摘した上で、今回の翻訳が研究者や後進に役立つことを願っている。研究者はこれを基に多方面から研究を進めることができ、専門家以外で『万葉集』に関心を持つ人も読めるようになると考えている。
『万葉集』が編まれた7〜8世紀、新羅による三国統一後に多数の百済貴族が日本に渡り、日本の文学などに大きな影響を及ぼしたと説明しながら、「万葉集は日本文学の研究だけでなく、韓国の古代文学研究にも役立つ」と話した。翻訳は定年までの9年間に終えたい考えだ。
(2012.10.24 民団新聞)