心揺さぶる激励
民団中央・東京本部共催「祝う会」で
民団中央本部の常任顧問である兪在根氏が国民勲章最高級の無窮花章、李時香氏が牡丹章をそれぞれ受章した。「第6回世界韓人の日」記念式(5日=外交通商部主催、在外同胞財団主管)での晴れやかな授与式に続き、両氏の受章を祝う集いがソウル市内のホテルで開かれた。民団中央本部と東京本部が共催した。
李常任顧問は企業経営の一方で、民団の支部活動から叩き上げ東京本部団長を2期務めた組織人でもある。兪常任顧問の組織経歴は、青商連(在日韓国青年商工会連合会)、東京韓国商工会議所など経済団体が舞台だ。民団に対しては財政支援に力を注いできた。
集いに参席した呉公太中央団長、金龍濤東京本部団長ら民団関係者はいつになく、高揚した面持ちだった。兪常任顧問の言葉にいたく感激したからだ。ある参加者は「祝う立場の自分たちが逆に慰労され、激励されたようなもの」と述べている。
「同胞社会に携わって以来、民団は絶対必要だと思ってきた。今でもその気持ちは変わらない」と前置きした兪常任顧問は、「在日同胞社会は大きな曲がり角にきている」との認識を示し、「だからこそ、同胞社会発展のために先頭に立つ民団、これからも在日同胞に尽くす民団が必要だ」と強調した。
在日同胞の成分や価値観が多様化するのにともない、様々な団体が生まれ、在日社会における民団の存在が相対化してきたのは否めない。本国各界でも民団に対する認知度が低下し、在日同胞のなかからも民団を軽視し先行き不安を煽る言動が珍しくなくなった。
「ここで踏ん張らなくてどうする」という思いの民団幹部の心を、経済人である兪常任顧問のストレートで力強いメッセージが揺さぶったのだ。
兪常任顧問は85年、青商連の第3代会長に就任して以来、青商組織を全国化するうえで大きな役割を果たした。重任禁止の1期3年だった任期の間に、それまで7地域にすぎなかった地方青商を20地域に拡大したオルガナイザーである。
また、自身が所属する民団東京・中野支部はもちろん、出身地である川崎支部への配慮も忘れていない。中央本部と東京本部の常任顧問として、巨額の拠出を継続してきながらも、諮問機関の立場を超えて組織運営に口をはさむことがない。持ち分をわきまえるタイプでもある。
兪常任顧問の「組織論」についての一家言は、知る人ぞ知るところ。サービス業を中心に、事業の多角化と全国化を同時展開できたのも、目標に向かって人員を効率的に動員し、成果を管理する組織論のたまものと言われる。
精進誓う幹部
企業経営における組織論に長けていれば、民団を見る目はかなり厳しいはず。兪常任顧問があいさつを「私もさらに努力し、同胞のために頑張る民団の発展にいっそう尽くすことを約束する」との決意で締めくくったのも、奮起を促すために違いない。
呉中央団長は「民団への無条件の賛辞ではなく、叱咤激励と受けとめ、私たちも精進しなければ」と語った。
(2012.10.24 民団新聞)