本書は、韓国および韓半島の現代政治史に関する大学での講義内容をもとにしたもの。「韓国現代史の展開のダイナミズムをいかに理解するか」を主題とし、ダイナミックな歴史をどのように記述するのか、さらに、それを動かす力学をどのように分析し解明するのかが、政治学者である著者の関心事である(序章・韓国現代史をどのように見るか―政治学と現代史の接点)。
①南北分断体制の形成とその堅固化(1945〜53年)②準競争的権威主義体制と民主主義の挫折(48〜61年)③冷戦利用型経済開発―朴正熙政権前半期(61〜72年)④冷戦の変容と権威主義体制の強化―朴正熙政権後半期(72〜79年)⑤民主主義韓国と脱冷戦への対応(81〜02年)⑥韓国・朝鮮半島の現在(02〜11年)の6章と「終章・韓国現代史の普遍的意味」からなる。
各章の補説では、韓国現代史の展開を規定した最も重要な力学は北韓との体制競争であったことを考慮し、北韓現代史について概観。読者の理解を促す。
「韓国および朝鮮半島は非常にダイナミックに動いているので、すぐに時代遅れになってしまうという危惧もあるが、予見し得る将来までも含めて、そうしたダイナミックな動きを透視する視座を提供できたのではないか」と著者は自負する。目配りが利いた韓国現代史だ。
木宮正史著
山川出版社
(1500円+税)
03(3293)8131
(2012.11.7 民団新聞)