今年4月に死去した在日同胞の歴史研究者、故李進熙・和光大学名誉教授の蔵書の一部がこのほど、国立釜山大学校に寄贈された。
同大学関係者は「李進熙文庫」のコーナーを設け、研究者に利用してもらう考えだ。
蔵書の寄贈は生前の李氏と、釜山大学校の申敬教授、同民族文化研究所の金東哲所長との間で約束が交わされていた。葬儀終了後間もなく、夫人の呉文子さんが自宅マンション内の4部屋を占めていた専門の考古学や古代史を中心とする蔵書を1冊ずつ点検し、約2カ月かけて段ボール箱約300個に収納した。
呉さんは「付箋がたくさん張ってあるなど、夫の手垢が付いた本やノートは手放したくないので、今も手元に保管してある。ロッカーにも大事そうな資料が残っているが、まだ開ける元気がでてこない。残りをいつまでに送れるのか、心の整理ができていない」と話している。
遺骨は来年の1周忌に合わせ、慶尚南道の郷里に埋葬される。釜山大学校でも、贈呈式を兼ねた追悼展を準備している。
(2012.11.7 民団新聞)