在日同胞歴史資料数千点所蔵
行政に代わるサポーター募集
大阪人権博物館(以下、リバティ)は、大阪市浪速区にある博物館です。85年12月に開館して以来、約145万人の国内外の方々に利用していただきました。その内の約50万人は、小中高の児童・生徒です。
常設展示では、在日同胞に対する差別を克服し、問題を正しく理解するため、前近代の日本と韓半島との友好関係、近代の植民地支配、そして在日同胞が継承し続けてきた民族文化について紹介しています。
展示資料のなかには、解放直後の朝鮮人学校で使用されていた教科書など、リバティでしか観ることのできない貴重なものも少なくありません。展示されている以外にも、数千点を数える、在日同胞に関する貴重な歴史資料を収蔵しています。
常設展示では在日コリアンに関する問題だけでなく、障害者、ハンセン病回復者、HIV/AIDS、性的少数者、沖縄、アイヌ民族、そして被差別部落など、日本国内に存在する多様な差別・人権問題を展示しています。資料展示を通して、各問題の背景について詳しく学び、まぎれもない事実の重みを感じることができる、希有な施設であることを自負しています。
またリバティでは近年、学校を対象とした出前授業を積極的に行っています。博物館資料をたずさえて教室に出向いた学芸員による授業は、高い評価を受けてきたところです。
11年度、117時限の出前授業をおこなったなかで、最も多くの学校が利用していただいたのが、「大阪で暮らす韓国・朝鮮人の歴史と文化」というプログラムです。60年ほど前に生野コリアタウンでつくられたチマ・チョゴリを見る、着るという体験を核に据え、児童・生徒の感想や感情を引き出しつつ、多文化理解について気づき、発見する機会を提供しています。
このような博物館で、93年以来、私は学芸員として働いてきました。常設展示をはじめ、多くの特別展、企画展を担当し、また出前授業に出向いてきました。人権啓発・教育に関わることで、在日同胞社会だけでなく、日本社会そのものの質的向上に、微力ながら貢献できたのではないかと思えることが、私の誇りです。
そのリバティはこれまで、財政の9割近くを大阪府・市の補助金によって運営されてきました。在日同胞をはじめとする被差別少数者の主張に寄り添いながら事業をおこなう施設を、在日同胞を含む府民・市民のみなさんに税金によって支えてきていただいたのです。この事実は、大阪という街に生きていることの誇りを感じさせてくれます。しかし、13年度以降、大阪府・市はリバティに対する補助金を廃止する方向であることを示しておられます。リバティとして、補助金の継続を引き続き求めていくことは当然ながら、補助金が廃止されてしまうという最悪の事態も見据え、運営を継続する方針です。そのためには、みなさんの財政的な支援が必要です。
企業、団体のみなさんには、ぜひとも「スポンサー」となっていただけないでしょうか。そして、個人のみなさんには、「リバティサポーター」になっていただけないでしょうか。制度の詳細については、リバティのWEBページ(http://www.liberty.or.jp/)にアクセスしていただくか、直接お電話(℡06・6561・5891)でお問い合わせください。苦難のなか差別撤廃にとりくみ、民族文化を伝えていただいた父母、祖父母の歴史を後世に伝えていくため、在日同胞のみなさんに、とくにご支援をお願いいたします。
文公輝(学芸員)
(2012.11.21 民団新聞)