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絵解き
領土や歴史認識問題でぎくしゃくした韓日関係に心を痛める両国の研究者が、問題の中長期的な収束を願って16日、東京の明治大学駿河台キャンパスで第5回韓日社会文化シンポジウムを開催し、意見を交換した。韓国学術研究院(朴商銀理事長)と韓国人研究者フォーラム(柳赫秀代表)が共同で主催、民団中央本部などが後援した。主催者側の予測を上回る200人以上が耳を傾けた。
領土、歴史認識テーマに
同シンポは「韓日両国の知識人が未来を考える対話チャンネル」として07年から毎年、東京、大阪などで開催してきた。5回目を迎えた今年は「緊急韓日関係診断‐歴史的構造的視点から」と題して双方の認識のズレに目を向け、どうしたら溝を埋められるのかについて話し合った。
開会式には駐日韓国大使館から申 秀大使が駆けつけ、「韓日はあと3年で国交正常化50周年を迎える。相手の立場に立った友好解決策が求められている」とシンポの成果に期待を表明した。
基調講演に立った大沼保昭さん(明治大学教授)は、独島領有権問題にからみ、日本政府が繰り返し主張してきた「固有の領土」論を「存在しない概念」と批判、「紛争解決を一層困難にしている」と述べた。李明博大統領の独島訪問についても、日本側の「慰安婦」問題に対する姿勢との兼ね合いから「やむを得ないパフォーマンスだった」と理解を示した。
日本が国際司法裁判所での解決を主張していることについては、「一つの理屈としては成り立ちうる」と肯定しながらも、いざ、韓国が「慰安婦」問題を国際調停で解決しようとすると拒否したことを挙げ、「ダブルスタンダード」と指摘した。
最後に、「韓国は正義と原理原則を重んじ、日本は相対的に低いのは確か。しかし、被害者と加害者の枠組み・図式に立っている限りは悪循環に陥るだけだ」と指摘。他者に聖人君子たる立場だけを要求するべきではないと、持論の「俗人主義」の思想を展開した。
続いて在日同胞弁護士の殷勇基さん(前在日コリアン弁護士協会会長)、浅羽祐樹さん(山口県立大学教授)、金相準さん(延世大学教授)が個別に報告。この後、柳赫秀さん(横浜国立大学教授)を中心に総合討論を行った。
(2012.11.21 民団新聞)