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「生きる力」の叫び
韓国伝統の定型詩である三行詩の創作活動を続ける「時調の会」(趙末雄代表)は、7人の在日韓国人2世による合同詩集『赤い月』を1日、日本文学館から刊行した。 同人7人のうち、1人を除く6人は、祖国解放前後に日本で生まれた。99年から詩作を支えてきたのは、「過渡期の時代に日本で生まれた『在日韓国人2世』という特殊な運命を生き抜いてきたという自負」だと同人の一人、金一男さん(民団直選中央委員、MINDAN文化賞「詩歌」部門審査委員)は話す。
趙末雄さんは、「ノドゥルの河辺で」(韓国民謡)で、「はじめて歌えた朝鮮の歌/オモニの前で歌いました/どうしても歌いたかったのです」と若いころの気持ちを綴る。
韓喜徳さんは、「鎮魂の歌・海女」(タバコの煙)で、「タバコの煙が立ち上がるように/時間も六十年をゆるりとすぎた/いまだ自分がみつけられずにいる」と、胸中を告白する。
在日同胞であれば胸を痛める詩も少なくない。だが読者は、辛い、悲しいと感傷に浸ってはいけないのだろう。なぜなら7人は前に進んでいるからだ。「生きる力」を、それぞれの詩から読み取ってほしい。
本書には00年に他界した鄭成均さんの遺作も収録されている。タイトルの『赤い月』は彼の作品からとった。
定価900円+税。問い合わせは日本文学館(℡03・4560・9700)。
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楽しみながら学ぶ
世界・日本・韓国の昔話を題材にした韓国語学習者のためのリーディング教材『昔話で学ぶ韓国語初級リーディング』(金京子著、CD付き)が、語学系出版物などの企画・制作・販売のアルクから発売された。
「シンデレラ」「金太郎」など世界の名作と日本の昔話、「三年坂」「トラと干し柿」など韓国の伝来童話の13編が収録されている。日本で知られている物語を多数取り上げているので、楽しみながら読解力がつけられるのは嬉しい。また、ハングル能力検定試験4級に必要な単語、文法、慣用表現や、口語表現や対話文を多く含んでいるので、検定対策としても役立ちそうだ。
「読む」「内容確認ドリル」「文法確認」「仕上げのチェック」の4ステップを繰り返し行うことで、実力アップできる工夫がされている。物語の日本語訳も収録されている。
定価2400円+税。
姉妹編の『昔話で学ぶ韓国語中級リーディング』には「アリとキリギリス」「かぐや姫」「浦島太郎」「コンジとパッチ」「フンブとノルブ」など15編が収録されている。
ハングル能力検定試験3級レベルの単語や表現を基準に内容を構成している。
定価2600円+税。 問い合わせはアルク(℡03・3327・1101)。
読者プレゼント
『昔話で学ぶ韓国語初級リーディング』と『昔話で学ぶ韓国語中級リーディング』を各3人にプレゼントします。
ご希望の方は、郵便番号、住所、氏名、年齢、電話番号、本のタイトルを記入の上、〒106‐8585 東京都港区南麻布1‐7‐32 民団新聞社「韓国語リーディング教材」係まで。13日締め切り。抽選後、当選者に送付。