新旧同胞の統合可能性にも言及
在日同胞の直面する課題を分析し、未来を展望する学術シンポジウムが11月27日、東京大学駒場キャンパスで開催された。同大学院情報学環現代韓国研究センターが主催、韓国の東北亜歴史財団が後援した。
第1部テーマ「地域社会の中の在日コリアン」では、横浜国立大学教授の柳赫秀さんが報告者の1人として登場した。
柳さんは在日社会の抱える課題として、①帰属(アイデンティティー)②団結(多様な構成員の統合)③共生(日本社会への参加・共存)の3つを挙げ、在日韓国民団と在日韓国人連合会(韓人会)との協働の必要性について言及した。
柳さんは、民団と韓人会の間で統合の動きがありながら、遅々として進んでいない現実にいらだちをあらわにしながら、韓人会には「民団の長い歴史と実在性をきちんと受け止めなければならない」と注文。一方で、民団側に対しても、「これまでは内向きの傾向があり、ニューカマーを上手に包摂していく環境作りが足りなかったのではないか」と指摘した。
そのうえで、共通する課題として在日子弟の民族教育を挙げ、民団と韓人会が日本社会の「内なる国際化」に向けて協働して働きかけていくのが大事と強調した。
柳さんは在日歴30年以上で、現在は会員120人を抱える韓国人研究者フォーラムの代表、および東京韓国学校理事と駐日韓国大使館諮問委員会領事・僑民部会委員を担う。韓人会でも06年から3年間、諮問委員を歴任した。
第2部では「グローバル化と在日コリアン」をテーマにした報告と討論があった。
(2012.12.1 民団新聞)