「仁川空港での温かい心遣いが忘れられない」という、感謝の手紙が駐福岡総領事館を通じて民団に届いた。差出人は福岡県大牟田市在住の金子孝治さん(66)。手紙を読んでみて、あらためて「医は仁術」という言葉を思い出した。
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金子さんは1月1日、中国山東省威海市に行くため、自宅からタクシーに乗車した。その際、トランクが顔にぶつかり、鼻の上を負傷した。傷口をティッシュで抑えながら福岡空港に着いたが、出血が止まらない。空港のスタッフに「治療はできないか」と尋ねたところ、素っ気なく「医者はいない」といわれた。
しかたなく、仁川空港まで行き、痛さをこらえながら119番ゲート前で乗り継ぎ便を待っていたところを見た乗客の1人が空港事務所に連絡。すると、2人の若い医者が飛んできて丁寧に止血するなど、てきぱきと治療にあたった。
青島行きの便に乗ってからは出血は止まり、痛みも遠のいた。威海市では3日間楽しく過ごすことができたという。金子さんは、「治療費も請求されず、なんのお礼もできないまま4日に大牟田に帰ってきました。一言お礼が言いたかった」と話している。総領事館から連絡を受けた民団大牟田支部の禹判根支団長は、「仁川空港は世界の空港のなかでも親切度NO1といわれる。ほんとうにうれしい」と述べた。
(2013.1.30 民団新聞)