IT関連の4事業を展開
ウィズコミュニケーション 韓行伸社長
ITと関連した▽ホームページの制作▽書籍の電子化サービス「スナップブック」▽韓・日語のバイリンガル人材紹介・派遣▽パソコン教室−−の4事業が中心。「今はパソコン教室に最も力を入れている」。社員は10人、昨年の売上額は約8000万円。
HPの制作から
大学卒業後、民族金融機関に勤務。そこで、「パソコンが少し扱えるからと、次々とパソコン業務をやらされたおかげでパソコンに強くなった」。2001年、退社と同時にホームページ制作業「Zウェブ」を設立。03年に法人化し、現社名のウィズコミュニケーションに変更した。
05年、韓国語と日本語の使えるバイリンガルを専門にした人材紹介・派遣業の人材バンクを始めた。主に日本サムスンやLGジャパンといった駐日韓国企業に斡旋。登録者は約5000人を数える。構成比は、日本人が半数、在日20%、ネイティブコリアン30%となっている。
ところが、08年に発生したリーマン・ショックの影響をもろに受けた。ウェブサイトの新規受注がさっぱりで、人材バンクの引き合いもまったく来なくなった。売り上げがどんどん落ち込み、「このピンチを切り抜けようと、ワラにもすがるつもりでカネになるビジネスを探し回った」。
そんな折、友人から電子書籍サービス業に関する情報を得た。もともとコンピューターには自信があり、「話を聞いてから立ち上げるまで1カ月間で準備できたのは幸いだった」。3年前のことだ。
コミックから文庫本、専門書にいたるまで、顧客から注文のあった書籍を裁断、スキャン、電子化(PDF)する。パソコンやタブレットなどで読むことができる。350ページ以内で料金は100円。スキャナー5台をおいて流れ作業でつくる。1カ月に8000〜1万冊をこなす。
もう一つ、公共職業安定所(ハローワーク)から求職者支援制度の一環としてパソコン教室を委託された。
「以前から、人材バンク登録者向けにパソコンを教えており、それが実績として認められた。まさしく、ピンチをチャンスに変えた」
パソコン教室は1クラスから始めて、昨年は3クラスに増設。受講生は60〜70人。今年に入り、毎月1クラスずつ増やし、7月までに9クラスにする計画だ。「いまや当社のドル箱」となった。
人材バンクに夢
学生会や青年会の会長を体験するなど、同胞との交流は長い。社会人になると同時に大阪青商に入会。「会員になって18年を数える。さまざまな業種の先輩に恵まれ、相談に乗ってもらうなど、助けてもらった」
高校まで通称名を使い、韓国人であることを隠していた。「在日であることを明かせば友人が離れていく」と思っていたからだ。ところが、高校時代の授業で、友人が差別発言をしたのを聞き、「こういう友人はいらない」と考えを改め、大学進学と同時に本名を使い始めた。
「本名の方がすっきりしていい。日本社会で本名を使いながら仕事することが自信にもなる」。今後は、在日の人材バンクをつくるのが目標だ。
◆(株)ウィズコミュニケーション=大阪市淀川区宮原4‐4‐2‐412(℡06・6399・2777)
(2013.3.6 民団新聞)