掲載日 : [2022-01-19] 照会数 : 3204
韓流人気持続に「バランス」が重要…韓国文化院孔炯植院長語る
韓国文化院の役割…孔炯植院長語る
出張型イベントの開催…オンラインと相乗効果
〝W杯キッズ〟の交流も
昨年11月に着任した韓国文化院(東京・新宿区)の孔炯植院長は、長引くコロナ禍の中でピンチをチャンスに変えるべく、新たなイベントの構想を打ち出している。同年12月には「韓国文化の日」と銘打ち、札幌、青森、熊本で出張型文化イベントを開催。札幌では400人が参加し、盛況を博した。孔院長は、日本で韓流の人気を持続させるためには「バランス」が重要だと説く。(インタビュー構成)
「ピンチはチャンス」という言葉がありますが、コロナ禍で対面での活動が難しくなり、韓国文化院はデジタル技術を活用して韓国文化を発信する努力をしています。
韓国文化院は東京にあるため、直接、文化院を訪問できない各地に住んでいる日本の方たちもさまざまな文化コンテンツを楽しむことができました。それはコロナ禍の肯定的な部分だと思います。
昨年12月に札幌、青森、熊本の3県で、直接、韓国文化院がいろいろなイベントを持っていく、韓国文化の出張型イベントを開きました。
札幌の場合は、コロナ禍で会場も市内から離れていたので参加者は少ないだろうと心配をしていましたが、多くの日本の方々が訪問してくれて成功裏に終えることができました。
それを見ると韓国文化院がオンラインで発信して、その発信したコンテンツを地域の日本の人たちが楽しんで、オフラインの行事に積極的に参加するというシナジー効果が創出されたと思います。今年も他の地域を訪問する予定です。
私が一番好きな言葉はバランスです。例えば、韓国と日本の文化交流のバランス、若い世代と高齢世代のバランスなどです。バランス良く日本の方たちが韓国文化を消費することが、韓流の人気を持続させるためには重要だと思います。
さらにK‐POPとか韓国ドラマの底には伝統的な文化があることを積極的に紹介し、その伝統文化を通して韓国が持っている価値観とかを伝えながら「一緒に生きていきましょう」というメッセージを発信したいです。それは韓国と日本の関係を改善する土台になると思うからです。
韓国文化院は、自分の文化を一方的に相手国に紹介するのではなく、交流を活性化させることが一番重要な役割です。
韓国文化院は日本の方が自由に訪問して韓国文化を楽しむ場所として愛される施設として位置づけることが重要です。なので、バランスを取って交流を活性化させなければいけません。
そしてもう一つは、ここはただの建物ではないということです。日本にはたくさんの在日韓国人がいます。昔、厳しい環境の中で生きていた在日韓国人の中には、民族的アイデンティティを容易に確立できない人もいたと思いますが、韓国の文化が成長し、また国力が上がったことで「私は韓国人だ」という自分のアイデンティティを確立できるようになった方もいるのではないでしょうか。
韓国文化院としては、韓国人がプライドを持って生きることができるように使命感を持って働いているので、足りない部分があっても応援をして下さい。
現在、海外の韓国文化院は33カ所ありますが、東京の韓国文化院は第1号として1979年に開院しました。そして2009年に建てられたコリアセンターも第1号です。コリアセンターにはさまざまな文化関連機関が入っており、他の韓国文化院からベンチマーキングされる対象になっていると思います。私たちは海外を代表する韓国文化院としてのプライドを持っています。
私が一番関心を持っている分野が韓国と日本の若い世代の交流です。若い世代は韓国と日本の未来を担っていく人たちなので、お互いに対してポジティブな感情を持つことはとても大事だと思います。
例えば、今年は韓国と日本が2002年ワールドカップを共同開催して20周年です。2002年に生まれた赤ちゃんたちは20歳になりますね。そのワールドカップキッズたちを集めて交流できるイベントを準備したいと考えています。
(2022.01.19 民団新聞)