掲載日 : [2004-11-04] 照会数 : 3479
引きずる恐怖復旧作業進まず 進む被災同胞実態調査(04.11.3)
[ 「命が助かっただけもうけもの」。気丈に語る李正守ハラボジの笑顔がかえって痛々しい ]
台風23号襲来から2週間
日本列島をほぼ縦断した台風23号の直撃から2週間が経とうとしている。兵庫県内では阪神大震災以来の犠牲者を出し、京都でも舞鶴と京丹後市を中心に大きなつめ跡を残した。このほか、中部や九州でも被害が広がっている。なかでも多くの同胞被災者を出した民団兵庫県本部は、被災同胞への救援募金に乗り出した。
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生活手段ほぼ失う 「死活状態」叫ぶ同胞も
京都・舞鶴市
【京都】民団京都本部の調査によると、県内の被害状況は、舞鶴支部が床上浸水5件、床下浸水15件、家屋損壊40件、丹後支部が床上浸水8件、床下浸水10件、家屋損壊1件となっている。
最も被害のひどかった舞鶴市は、台風23号による豪雨で由良川が氾濫し観光バスが水没、屋根の上で乗客らが一夜を明かしたニュースで一躍有名になったところだ。
被災から10日後。由良川に沿った国道175号は、ダンプカーがひっきりなしに走る。その国道沿線で車両を解体しパーツ(部品)を全国販売する金靖一さん(60歳、民団舞鶴支部支団長)の工場には、泥をかぶったままの車体があちこちに置かれたままだ。事務所は道路から1㍍高台に建てられているにもかかわらず床上150㌢まで水浸しになり、壁にくっきり跡が残っている。
「工場内の泥を出したばかり。片付けだけで1カ月はかかる。被災後2日間で水道、電気は復旧したが、事務所内の備品はどれも使い物にならない。電話やファクスは仮設できたが、肝心のコンピューター類が使えず死活状態だ。こういう時こそ民族金融機関が同胞に対して支援してほしい」と、金さんは訴える。
そこから少し離れたところで夫婦で30年間ラーメン屋を営んできた李正守ハラボジ(71歳)。「その日は早めに店じまいをし、夜になり、水の音がするので裏戸を開けるとびっくり。目前まで水が増していたので2人ですぐに山のほうに逃げた。交通が遮断されたのでどこにも行くことができず、丸1日半、何も食べずに車の中で過ごした」と、由良川が氾濫した時の恐怖を振り返った。
冷凍庫やエアコンなどが水に浸かり使い物にならない。どこから手をつけていいか途方にくれたが、今は気を取り直し、夫婦で少しずつ片付け始めた。
「店を続けるかどうかは片付けを終えてから考えたい。命が助かっただけでももうけもの」と気丈に語る姿がかえって痛々しい。
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団員宅にも被害甚大 「対策本部」を設置
民団兵庫
【兵庫】西日本を襲った台風23号は、兵庫県下各地で大きな被害をもたらし、県下団員の被害も深刻だ。播丹支部管内の西脇市、小野市、但馬支部管内の豊岡市のほか、淡路分団管内の洲本市内でも洲本川が氾濫し、同市の物部地区の団員が被害を受けた。
民団兵庫県本部は10月27日、本部執行委員会を開き、台風23号による県下団員の被害を報告するとともに対策本部を設置することを決めた。同本部の調査報告によると、但馬支部管内の豊岡市居住の団員はおおむね床下浸水にとどまっている。 しかし、播丹支部では支部建物が濁流で備品のほとんどを流された。西脇市の団員宅は20軒以上が床上浸水の被害を受け、県下では最大の被害になった。
このほか東播支部では屋根まで浸水、クーラー機器などが損失したことが報告された。このため、本部では白永煕団長を本部長とする「台風23号被害対策本部」を設置し、常設の「防災対策委員会」が対策本部としての役割を担うことになった。
31日に行われた『10月マダン』で参加者に義援金募金を呼びかけたほか、各支部に総額100万円の義援金を募ることにした。また、県・市の災害支援法を団員に広報し、民団中央本部にも支援を求めることを決めた。
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避難所生活続く 淡路島で
同本部の尹達世事務局長、高正慶民生部長は10月28日、水害被害調査のため、淡路分団の成楽生分団長とともに物部地区の団員宅を訪問した。淡路島居住の同胞は全島で185人という過疎地域で、洲本市には53人の同胞が居住している。
水害以来1週間が経過したが、洲本川の橋には軽自動車がひっかかったまま放置され、周辺は氾濫のすさまじさを物語っていた。
物部地区の団員は4世帯。喫茶店を営む孫桂花さんは「店は段をつけて少し高く建てていたが、裏手の樋戸野川(洲本川の支流)も溢れてしまったので、備品を大慌てで片付けた。しかし、冷蔵庫2台は使い物にならなくなってしまった」と肩を落とす。
近くの李武人さん宅は少し土地の低いところに立地していたため、天井まで水に浸かり、プレハブは濁流に押し流されて傾いたままになった。李さんは住むことができないので避難所のスポーツ会館で寝起きしているという。当地出身の小説家、故鄭承博さん宅は幸いにも被害を免れた。
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店舗再開のメドたたず ‐そのほかの地域から‐
河川が氾濫悪臭いまも…岐阜・趙さん
河川が氾濫し、地下1階地上2階の自宅兼焼肉店舗を襲った。身の危険を感じた趙さんは両親と妻子の5人をともなって車で避難した。道路も浸水して危険な状況だったという。普及作業はいまも続いているが、業務用冷蔵庫は使用不可能。汚泥で悪臭がひどく、店舗再開のメドはたっていない。
強風で自宅屋根が飛ぶ…富山・金萬鎭さん
1階お好み焼き店の入り口付近のガラスが強風で粉々になった。2階自宅の屋根も吹き飛んだ。公園を見ると、大きな木がなぎ倒されていた。店舗の改修が11月になるのか、12月になるのか、いまは見当もつかない。
精神的打撃で寝込みがちに…長崎・郭順占さん
1人住まいの郭さんは朝6時頃、自宅横の倉庫が倒壊し、ガラスがくだけ散る音で目を覚ました。自宅のベランダの屋根も飛び散っていた。消防団が駆けつけ無事だったが、精神的ショックはいまも収まらない。
(2004.11.3 民団新聞)