掲載日 : [2005-01-19] 照会数 : 2918
李明守税理士の同胞税務相談(05.1.19)
(毎月1回掲載)
融資決定する決算書…戦略的に作成を
Q 個人で不動産を所有し確定申告を迎え、また、経営する3月決算法人の決算についても銀行から申告書や予測決算書の提出を求められています。担当者がセイジョウ、ヨウチュウとかヨウカンと言いながら財務評価の話をしていましたが、何のことでしょうか。
A 金融機関では、金融庁の指導により数年前から、貸出先の中小企業を正常先、要注意先、要管理先、破綻懸念先などに分類しています。正常先のなかでもランク分けしています。銀行の担当者はこれらの略語を使いながら話されたのでしょう。
融資の情勢は担保至上主義から返済能力重視へと転換しています。
金融機関は社長の顔を見て融資するのではなく、決算書を見て融資します。経営計画書も大切ですが、過去の実績を重視する傾向が強いようです。
①政府系②保証協会付き③プロパー④ノンバンクのいずれにしても、これらは「企業格付け」といわれる貸出先評価システムのポイント制をもとに貸出条件を検討します。この点数制は決算書から入力します。
特に銀行等もペイオフを控え、銀行等自体の経営体質をより良いものにするために新規貸出先企業の見極めに慎重です。
企業財務評価では、売上金額、同業他社に比べ粗利益率は適正か、黒字か赤字か、債務超過か、繰越欠損があるかを見ますし、非財務評価では、社長個人の様々な経営者能力を点数によって鑑定します。全国地銀協会の12段階分類やA・B・Sに分ける信金信組の共通評価基準もあります。
借り入れが困難なときには①格付けをアップする施策を実行する②他の金融機関に相談する、という2つの方法しかありません。もちろん支店長決済などの専決貸出制度も既存のままですが、常に借り入れしやすい状況をつくるなら、銀行等が貸しやすい決算書を「戦略的」に組むべきでしょう。
数年続けて借りにくい決算書を作ると、将来の設備投資等の大事な時にチャンスを逃してしまうことにもなりかねません。過去の経営数値は変えられないからです。
一方で利益が予測より大幅に増えそうなときには、節税をして税コストを下げることは経営上、大切であることは言うまでもありません。
企業格付けと節税の両方を視野に「計画経営」を心がけて年に数回の検討会を開き、最善の決算書を作成したいものです。年1回の決算書が事業者や会社の運命を決め、また守ってもくれます。
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略歴
イ・ミョンス。1958年下関生まれ。青年会中央副会長などを経て税理士の資格取得。今年3月に独立。福岡韓国商工会議所理事、福岡納税経友会顧問。℡092‐415‐3111。
(2005.1.19 民団新聞)