掲載日 : [2005-01-26] 照会数 : 3227
法と生活〈22〉 在外同胞向け最新法・制度
(文責・民団中央民生局)
民事事件の手続き㊦
簡単で迅速な少額審判制度
▼競売
差し押さえ物が現金なら直接債券に充当することができるが、他のものなら競売して現金化しなければならない。差し押さえの後、普通1カ月ほどして競売期日が指定されるが、債務者がすすんで返済すれば強制執行の委任を撤回することができ、別に妥協されれば競売期日の延期も可能である。競売期日には債権者が行かなくてもかまわないが、債権者も落札人になれるので行ってみるのもよい。
▼配当
複数の債権者が競売代金ですべての債権に満たなければ、債権者間で協議し、成立すれば、執行官がそれに基づき分配・支払いする。協議が成立しなければ、裁判所が法に基づき優先弁済を受けることができる債権者にまず支払い、その後で一般債権者の債権額に比例して分配・支払いする。強制執行をした債権者だからといって優先弁済権がある訳ではなく、後で配当申請した債権者と同等に扱われる。ただし不動産競売の場合は、配当に際して債権者間の協議手続きを行わずに裁判所が配当を行う。
ハ 財産関係の明示制度
▼債権者の申請
債務者が確定判決、和解・調停調書、確定した支払い命令などによる金銭債務を任意に履行しない時には、債権者は執行力ある正本と強制執行開始に必要な書類を添付して裁判所に債務者の財産関係の明示を要求できる。
▼債務者の義務
債務者は、裁判所の命令がある場合、裁判所が決めた期日に現在の財産と1年以内に行った一定の取引行為と、2年以内に行った財産上の無償処分を明示した財産目録を提出しなければならず、同時にその財産目録が真実であることを裁判官の前で宣誓しなければならない。
ただし、債務者は3カ月以内に債務を返済できることを疎明した時にはその提出を3カ月の範囲内で延期することができ、延期された期日まで債務額の3分の2以上を返済した時には、再び1カ月の範囲内で延期できる。
▼不履行時の措置
債務者が正当な事由なく期日に裁判所に出席しなかったり財産目録の提出を拒否した時、または宣誓を拒否した時には20日以内の監置処分を行うことができ、虚偽の財産目録を提出した時には3年以下の懲役や500万ウォン以下の罰金に処すことができる。
ニ 外国裁判所判決の国内執行
▼原則
外国裁判所の判決は、国内で執行する場合、たとえば判決文に記した強制執行などをするには国内裁判所で外国裁判所の判決に記した執行判決を別に受けなければならない。
▼要件
国内裁判所で外国裁判所の判決に記した執行判決を受けるためには①韓国の法令または条約に基づく国際裁判管轄の原則上その外国裁判所の国際裁判管轄権が認められなければならず、②敗訴した被告が韓国国民の場合、公示送達によらず訴訟の開始に必要な召還または命令の送達を受けたり、あるいは送達を受けなくてもすすんで応訴しなければならず、③外国裁判所の判決が韓国の善良な風俗、その他社会秩序に違反するものであってはならない。
▼その他
このような要件がすべて具備された判決中、韓国の裁判所が執行判決で宣告した判決によって強制執行できる。この時、当該の外国判決が必ず確定された判決でなければならないことは、国内法である判決の強制執行におけると同様である。
この時、執行判決を請求する訴えは、被告の住所地を管轄する裁判所に提起しなければならず、住所がなかったり住所を知ることができない時には、被告の財産所在地管轄の裁判所に提起できる。
7 その他の訴訟関連制度
イ 少額審判制度
①制度の趣旨
民事訴訟をするには費用が多くかかり時日も長くかかるため裁判を避ける場合が多かった。2000万ウォンを超過しない金銭支払いを目的にする請求のように比較的単純な事件に対して普通裁判より迅速で経済的に裁判を受けられるようにしたのが少額審判制度である。
②簡便な訴訟提起
裁判所の総合受付室または民事課に行けば、印刷された少額審判用書式用紙が備えられており、誰でもこの書式用紙を利用して簡単に訴状を作成できる。本人が直接作成しにくい場合、裁判所職員に代わりに作成を頼むことができる。このほか原告と被告の双方が任意に裁判所に出席して陳述する方法でも訴えの提起が可能である。
③迅速な裁判
訴状を受け付ければ直ちに弁論期日が決められ、その日時や場所などを知らされる。
裁判は1回だけで終わらせることを原則とするので、当事者はすべての証拠を最初の弁論期日に提出できるように準備しなければならない。裁判に欠席すれば直ちに不利な結果を招く。すなわち、被告が欠席し答弁書も出さなければ即席で原告に勝訴判決が宣告され、原告が2度欠席し、その後1月内に期日指定の申請をしなければ訴訟は取り下げられたものと見なされる。
少額事件の訴えが提起された時に、裁判所が決定で訴状副本や提訴調書謄本を添付して被告に請求趣旨どおり履行することを勧告でき、被告がこれに対して移行勧告決定の送達を受けた日から2週間内に書面で異議申請をしなければ移行勧告決定は確定判決と同じ効力を持つようになり、原告は執行文付与なしに履行勧告決定正本で強制執行することができる。
当事者の便宜のために1995年9月1日から小都市や郡地域に市裁判所または郡裁判所が設置されたので市・郡裁判所管轄の少額事件については訴状を市・郡裁判所に提出しなければならない。
④訴訟代理の特則
普通裁判と違い弁護士ではなくても原・被告の妻、夫、父母、子、兄弟姉妹、戸主などは、裁判所の許可なしに本人を代理して訴訟ができる。この時は、委任状と戸籍謄本または住民登録謄本を提出しなければならない。
ロ 民事調停制度
①制度の概念および趣旨
民事調停とは、民事に関する紛争を裁判官または裁判所に設置された調停委員会が簡易な手続きによって紛争の当事者からそれぞれの主張を聞き関係資料を検討した後、諸事情を斟酌して当事者たちが互いに譲歩して妥協し合意するようあっせん、勧告することで和解に至らせる法的手続き。この制度は、他の民事紛争解決方法に比べ費用が少なく、簡易・迅速な手続きによって進められるので誰でも容易に利用できる。
②民事調停申請
▼民事調停の開始
民事調停は紛争の当事者の一方または双方が調停申請をするか、訴訟事件を審理している判事が職権でその事件を調停に回付することで始まる。
▼管轄裁判所
調停は被申請人(相手)の住所地、事務所または営業所の所在地、勤務地、紛争の目的物所在地または損害発生地を管轄する地方裁判所、地方裁判所支所、市・郡裁判所に申請できる。当事者双方が合意した場合には、どこでも便利な裁判所に調停を申請することもできる。
▼調停申請方法
調停申請は本人自らまたは弁護士や法務士に依頼して作成した調停申請書を管轄裁判所に提出すればよい。調停申請は裁判所職員に対する口述も可能。
▼調停申請時の留意点
調停申請を行うには当事者の姓名、申請の趣旨および紛争の内容を明確にしなければならない。調停を書面で申請する場合には相手の人数分の申請書副本を一緒に提出する。また調停申請をするには調停手数料と送達料を前納しなければならない。
③民事調停手続き
▼調停機関
調停事件は調停担当判事が処理する。ただし、調停担当判事の職権あるいは当事者の申請によって調停委員会でも処理する。
▼調停期日
調停申請があれば直ちに調停期日が決められ、申請人と相手側にその日時・場所が通知される。当事者双方が裁判所に出席し調停申請をした時には特別な事情がない限り、その申請当日が調停期日になる。
▼当事者および利害関係人の出席と代理
当事者は指定された日時・場所に本人が直接出席しなければならない。ただし、調停担当判事の許可があれば当事者の親族や被雇用者などを補助人として伴ったり代理人として出席させることができる。調停の結果に関して利害関係がある人も調停担当判事の許可を得て調停に参加できる。
申請者が2回調停期日に出席しなければ調停申請は取り下げたものとし、反対に被申請人が出席しなければ、調停担当判事は相当な理由がない限り被申請人の陳述を聞かずに職権で「調停にかわる決定」を行う。
▼陳述聴取と証拠調査
調停担当判事や調停委員会は調停期日に出席した当事者双方の意見を等しく聞き、当事者が提示する資料を検討し必要な場合適当な方法でさまざまな事実と証拠を調査して双方が納得できる線で合意を勧告するなど調停手続きを進める。
④調停の成立と不成立
▼調停の成立
調停期日に当事者の間で合意に至れば、その内容が調書に記載されることによって調停が成立する。
▼調停にかわる決定
調停期日に被申請人が出席しない場合または当事者双方が出席しても合意が成立しない場合には、調停担当判事(または調停委員会)は相当な理由がない限り職権で「調停にかわる決定」を行う。
この決定に対して、当事者はその内容が記載された調書正本または決定書正本を送達された日から2週間内に異議申請を行うことができ、異議申請があればその決定は効力を喪失し、事件は自動的に訴訟に移行される。当事者双方が2週間内に異議申請をしなければ、その決定内容どおり調停が成立したものと同一の効力が生じる。
▼調停をしない決定
事件の性質上調停をするに適当ではないと認められたり、当事者が不当な目的で調停を申請したと認められる場合には、調停担当判事は「調停にかわる決定」で事件を終結させることができる。
▼調停の不成立
当事者間に合意が成り立たず、職権で「調停にかわる決定」をするにも適切ではない事件と認められれば、調停担当判事(調停委員会)は調停が成立しないものとして事件を終結させる。
⑤訴訟への移行
調停申請をしたが「調停をしない決定」があったり、調停が成立しない場合または「調停にかわる決定」に対して当事者が異議申請をした場合には、当事者が別途の申請をしなくても、その事件は自動的に訴訟に移行する。
この場合、調停申請時に訴えが提起されたものと処理されるので、その時を基準に消滅時効中断などの効力が生じる。一方、訴訟に移行することによって追加で印紙を貼らなければならないが、この時にも初めから訴えを提起したならば訴状に貼るべき金額から、調停申請をする時にすでに納付した手数料分を控除した差額のみを収めれば良いので、結果的に申請者には不利益がない。
⑥調停の効力と執行
調停が成立したり調停にかわる決定が確定されたのに相手側がその義務を履行しない時には、確定判決と同じく前述の調停または決定を持って強制執行ができる。また、債務の内容が金銭債務の場合には裁判所に債務者の財産関係の明示を要求する申請を行うか、場合によっては債務者を債務不履行者名簿に記載するよう求め、申請を行うことができる。
(2005.1.26 民団新聞)