掲載日 : [2005-06-29] 照会数 : 3689
李明守税理士の同胞税務相談
李明守税理士の同胞税務相談
被相続人が韓国籍…相続は韓国民法で
Q 私は在日の韓国籍で、財産が日本と韓国、アメリカにあります。私の遺産の分配や税金はどうなるのでしょうか。妻が日本人で、子供は韓国籍2人、日本籍が1人おります。
A ①相続の準拠法
在日韓国人(韓国籍者)名義の遺産に関わる「相続」については韓国民法に準拠します。被相続人だけが韓国籍で、相続人がすべて帰化し日本国籍を取得していても、その相続は韓国民法によります。韓国民法の相続規定によって、だれが相続人であるのかや、相続の順位、代襲相続、法定相続分などを解決します。
②相続順位
韓国民法は、相続の順位として、第1順位を直系卑属(子や孫)、第2順位を直系尊属(父母や祖父母)、第3順位を兄弟姉妹、第4順位を4親等以内の傍系血族と定めています。
被相続人の配偶者(夫または妻)は、第1順位の直系卑属が相続人となるとき、および第2順位の直系尊属が相続人となるときには、その相続人と同順位で共同相続人になります。
第1順位と第2順位の相続人がいないときは、配偶者のみが単独相続人となります(この点は日本相続法と大きく異なります)。
③法定相続分
配偶者の法定相続分は、第1順位の場合には子の相続分の5割増しとなり、第2順位の場合には、直系尊属の相続分の5割を加算した割合となります。
例えば、相続が開始した時点で、配偶者と実子が生存している場合には、配偶者の法定相続分は子の5割増しなので、子が1人だと、配偶者が5分の3、子が5分の2です。子が2人だと配偶者は7分の3で、2人の子がそれぞれ7分の2となり、子が3人だと配偶者が3分の1で、3人の子がそれぞれ9分の2となります。
相続時に配偶者が既に死亡しており、実子全員が生存している場合には、子それぞれの相続分は均等となります。例えば、子が4人だと、各々4分の1となります。
なお、戸主承継者や嫁いだ女子も相続分は同一です。また、遺言による場合や共同相続人全員の協議により遺産が分割される場合には、法定相続分に拘わらず、これらにより分割された財産を相続人が取得することになります。
④相続税の課税
在日韓国人である被相続人の遺産が日本以外の国にもある場合には、相続税の計算は、それぞれの遺産の所在する国(州)における相続(遺産)税法により課税されます。相続は韓国民法に準拠し、税金は遺産の所在地国の税法によって計算します。
日本の相続税は、居住者であった被相続人につき原則として全世界の遺産を課税対象とし、韓国では海外同胞の場合には韓国国内遺産を課税対象とします。
そして、相続税額の計算の結果、それぞれの国において納税額が生じる場合には、例えば日本、韓国、アメリカに税金を納付します。
その際、それぞれの国によって課税対象範囲(当該国外遺産を含むか否か)が異なりますので、ある財産について2国間の二重課税が生じた場合には、一定の相続人については、税額控除の規定を適用し、二重課税部分を控除したあとの税額を納付することになります。
*略歴 イ・ミョンス。1958年下関生まれ。青年会中央副会長などを経て税理士の資格取得。福岡韓国商工会議所理事、福岡納税経友会顧問。李明守税理士事務所℡092−415−3111。(毎月1回掲載)
(2005.06.29 民団新聞)