掲載日 : [2005-09-07] 照会数 : 3461
日帝軍事基地強制労働を証言
[ ソウル市内の自宅で強制連行体験を語る鄭さん
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14年ぶりの生き証人で歴史堀り起こしに
「発掘する会」に鄭在悳氏・60年の沈黙破り証言
【奈良】奈良県天理市で旧柳本飛行場の建設工事に携わったソウル市内在住の同胞が沈黙を破り、60年前の強制連行体験を証言した。同飛行場建設工事に直接関わった生き証人が現れたのは91年秋以来14年ぶり。聞き取り調査にあたった日本の市民団体「奈良・発掘する会」では、行政に強制連行名簿の公開を迫り、闇に隠された全体像を明らかにしていきたい考えだ。
強制連行体験を語ったのは鄭在悳さん(86)。「奈良・発掘する会」から川瀬俊治事務局長ら4人が8月29日、自宅のソウル市九老区のアパートを訪ね、聞き取りを行った。
証言によれば鄭さんは45年春、忠清南道の故郷からただ1人、天理に送られた。このとき、滑走路はすでに完成していたが、さらに労働力を必要としていたようだ。米軍の爆撃は激しさを増していた。「このままでは死ぬ」と逃亡を図った。逃亡先で在日同胞と出会いその飯場に潜り込む。鄭さんは「以後、ご飯も食べられたし賃金ももらった」。故郷に戻ったのは46年のことだった。
鄭さんは「日帝強占下強制動員被害真相究明等に関する特別法」に則って韓国政府に被害者の届けを出した1人。韓国の独立記念館展示部の金静在さんが、90年代半ばから韓日の歴史掘り起こしで協力しあう「奈良・発掘する会」の川瀬事務局長に「天理の強制連行に関して名簿はありますか」と問い合わせたことが、今回の聞き取り調査に結びついた。
問題は強制連行名簿の有無だ。天理に関しては歴史文書、とりわけ名簿はこれまで一切発見されていないが、川瀬事務局長は「すべての歴史文書が焚書坑儒されてはいないだろう。公文書である徴用者リストはどこかに眠っているはずだ。歴史にふたをする日本政府に対して韓国の市民運動のように公開を迫っていく。このことが鄭さんから突きつけられた課題だ」話している。
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柳本飛行場とは
正式には「大和海軍航空隊大和基地」という。建設開始日は様々な資料から43年秋からと見られている。多くの朝鮮人労働者を使い、45年2月1日に開隊した。沖縄戦で勝利したアメリカ軍が次は九州に上陸してくる‐そう考えた旧日本軍は海軍の司令部を東京の日吉から大和基地に移転させることを視野に置いて増備を図っていた。
(2005.09.07 民団新聞)