掲載日 : [2006-07-05] 照会数 : 6875
読書 Books
[ 韓国の日常 ]
[ 沙也可(左)、パラムソリ(右) ]
韓国の日常 世界現代韓国をわかりやすく
任栄哲著 KKベストセラーズ 800円+税 ℡03(5976)9121
韓流が定着したと言っても過言ではなくなった今日の日本社会。
しかし、韓国の庶民がどのような生活を送っているのか、というレベルまでは、まだまだ理解されていないのではないか。
韓日友好親善の深化を願う著者は、韓国の中央大学と日本の埼玉大学で教鞭をとり、社会言語学と日本語学を専門にする立場から、この入門書を手がけた。
まず、「現代韓国人の生活様式」として、キムチに代表される食生活、独特の暖房装置オンドルが定着した住まい、チマ・チョゴリなどの服飾‐という衣食住を紹介している。
次に、「韓国社会の仕組み」では、社会生活、教育、政治、経済・経営などを解説し、「韓国の文化にふれる」では、芸能、文化、スポーツ、遊び、娯楽・趣味に触れる。「韓国人の精神世界を覗いてみる」では、「進歩的、躍動的かつ誠実で、この世の役に立つ人間」を表す「弘益人間」が、建国理念であるという韓国人の精神世界を説く。
そのほか、言語、世界文化遺産、宗教、祭りなどにも迫っている。
韓国の生活・社会・文化を230項目に分け、理解しやすいように編集した基礎講座的な内容で、訪韓の機会があれば、その前に読んでおきたい1冊と言える。
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沙也可 平和愛し義に生きる
江宮隆之著 桐原書店 1995円(税込) ℡03(3314)8181
豊臣秀吉が朝鮮侵略の火蓋を切った「文禄の役」の頃、加藤清正の先鋭軍として出兵させられたのが、紀州・雑賀出身の鈴木孫次郎と彼を頭領と仰ぐ一群である。雑賀は秀吉によって、一族郎党が壊滅状態に追い込まれたが、一命をとりとめた孫次郎は、母の遠縁を頼って九州・肥後に身を寄せた。その経緯ゆえに、朝鮮出兵を断ることができなかった。
孫次郎の母は物部氏の血を引く渡来人で、文人統治や渡来文化の優れた点を、幼い息子に繰り返し聞かせた。朝鮮の血を引き、朝鮮への憧れを抱いていた孫次郎にとって、母の地に銃を向けなければならない運命は、葛藤そのものであった。秀吉に取り入ることしか眼中にない清正は、朝鮮各地で非戦闘員の女、子どもまでも次々に虐殺した。その光景はかつて惨殺された雑賀の悪夢を呼び起こした。
大義名分のない戦に疲弊し、絶望した孫次郎と雑賀衆は、一日も早い講和を願う朝鮮義兵の説得に心動かされ、ついに祖国を捨て義の道に進むことを決意する。このことは日本側、朝鮮側の武将の記録にも残っているという。
朝鮮の民とともに生きる孫次郎は、沙也可と呼ばれ、後に金忠善と名乗る。平和を愛した沙也可の子孫、金氏一族は約8千人。朝鮮総督府は彼らを「反逆者」「売国奴」と罵倒したという。
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パラムソリ こだわり続ける韓国と日本
成美子著 晩聲社 1200円+税 ℡03(5283)3721
韓国のテレビ局の仕事や執筆活動を続ける在日3世から見た韓流ブームの舞台うらなどを、スパイスの効いた切り口で綴ったエッセーだ。
「冬ソナ」に始まり、「チャングムの誓い」に引き継がれた韓流ドラマの人気に目を細めながら、その一方で純な日本のファンをカモにする一部の韓国の悪質商法には怒りが収まらない。本人も知らない××付きの「ヨン様人形」って一体何だと噛みつく。
この怒りこそ、韓日の架け橋を自認する在日ならではの「正義」というか、「祖国愛」というものなのだろうと思う。補身湯を食べるくらいなら韓国人をやめてもいいという啖呵、「北送船」に乗っていたかもしれないという追憶も同様、在日ならではの感性を見る。
第2章の「異色・魅惑のコリアンフード」では、ソウルで魅せられたキムチのほか、2世の母が体験した密造マッコリの話、牛のテールを七変化させて別メニューに仕立てる著者の料理法の一端も紹介されている。韓国食にのめりこんだ思いの数々で、こちらも満腹にさせられるから不思議だ。
最後に、宴席で歌われるという「10代、顔が可愛いのに勉強ができる女」「20代、整形して美人なのに、整形したことが誰にも分からない女」で始まるソウル女性節には、笑ってしまった。
(2006.7.5 民団新聞)