掲載日 : [2008-06-28] 照会数 : 4243
<読書>布施辰治と朝鮮 弱者の権益守った弁護活動
東京・新宿の高麗博物館が、07年8月から10月にかけて実施した「布施辰治‐朝鮮人民衆と共に生きた人権弁護士」展の期間中、孫の大石進氏と作家の高史明氏が語った講演録のほか、布施の活動に詳しい韓国の大学教授、研究者らの論文を掲載している。
特に、家出同然で東京に出て来た高氏と布施弁護士の出会いは、まだ焼け野原だった新宿の職安広場で一日240円の仕事(ニコヨン)で命をつないでいた高氏にとって一生忘れない出来事になった。
ある日、賃金を払えない会社側が、3千人以上の労働者のその日の募集を突然取りやめたことに怒った労働者を蹴散らしにやって来た警官隊と武力衝突が起きる。仲間を助けようとし逮捕されてしまった高氏の釈放を求める人々の先頭に立っていたのが、布施弁護士だった。布施の人情に触れ、作家を目指したという高氏が捕らえられたのが、今の高麗博物館あたりだというのも運命的だ。
布施弁護士は特高警察が権力を前面に出していた時代に、社会的弱者である同胞の目線に立った人権擁護に奔走したことが評価され、韓国政府からただ一人建国勲章「愛族章」を受章された日本人である。権利擁護のために闘った生涯を通じて、現在の韓日市民レベルの関係を再考するというのが本書発刊の動機である。
(高史明ら共著、高麗博物館2000円+税)
℡03(5272)3510
(2008.6.25 民団新聞)