掲載日 : [2008-09-03] 照会数 : 3989
<読書>韓国現代史 切手でたどる60年 時代を物語る切手の数々
建国60年を迎えた韓国の歴史を、切手で読み解こうという着目点がユニークだ。「郵便学」を提唱する著者が、解放後を手始めに李承晩政権から李明博大統領就任までに作られた切手にスポットを当てた。まさに「切手は世につれ、世は切手につれ」の感がある。
それぞれの節目に発行された切手を見れば、当時の韓国の状況がわかる。例えば、45年8月15日に日本の植民地支配から解放されたが、米軍政に代わっても韓国内では日本の切手や消印などがそのまま使われていた。解放記念のオリジナル切手が発行されたのは46年5月のことだが、印刷所がなく日本の印刷局に委ねざるを得なかった。
また、解放1周年記念の南の切手は、通信の象徴であるハトと統一を視野に入れた半島図であるのに対し、北の切手は太極旗を背景にした金日成と無窮花を描くことで、すでにソ連の肝いりで単独政府の樹立を準備していたにもかかわらず、表向きは統一政府樹立を目指すとの建前をかざしている。やがて韓国の国旗と国花になる2つの象徴的存在と金日成の取り合わせが、時代を感じさせる。
韓国戦争についても、ソウル陥落を記念した北の切手が、すでに開戦前に準備されていたと断定できることから、南侵の用意周到ぶりを示す資料価値の高いものになっている。
(内藤陽介著、福村出版2800円+税)
℡03(3813)3981
(2008.9.3 民団新聞)