掲載日 : [2008-11-06] 照会数 : 6541
北韓情勢と核問題の現況 尹徳敏教授
[ 10月28日の統一問題討論会で主題発表する尹徳敏教授 ]
力点は軟着陸に
6者会談 なお大きい効用性
10月28日の「世界韓民族統一問題大討論会」で行われた尹徳敏・外交安保研究院教授の主題発表「北韓情勢と北韓核問題の現況」の要旨は次の通り。
■なぜ、核兵器を開発するのか?
北韓政権にとって核兵器開発は、体制維持のためであると同時に、対米関係改善実現のための交渉のテコとみられる。北韓の交渉行動には次のような特徴がある。
第一、米国との直接的な談判をはかるという点である。交渉相手は韓国でも中国でもなく、米国に絞っている。
第二、対米交渉において、制限的な核抑止力を認めてもらう代りに、米国が憂慮する事案に対しては、最大限解消するという線での政治的妥協を模索する。最小限の抑止力を認めてくれれば、ミサイル拡散と長距離ミサイル開発を断念するということである。
第三、要求事項に応じない場合、核兵器の量産と長距離ミサイルの開発を強行すると脅し、瀬戸際戦略を取った。
第四、核兵器開発を交渉のテコにし、生存に必要なエネルギー、食糧など経済支援を最大限引き出すのに活用してきた。
吸収・従属化 ともに回避へ
結局、一定水準の核武装(韓半島用の制限的な核武装)を米国が黙認すれば、米国には脅威にならないようにするということが、この20年近く、一貫して模索している北韓式解決の骨子である。 07年1月に訪米した金桂冠外務副部長の発言で注目される点は、北韓が米中協力構図を牽制し、中国を交渉過程で最小化させるという隠された意図である。
北韓は韓国に吸収されず、中国に従属化されない生存のフレームとして、核武装と対米戦略関係という「二匹の兎」を追っている。
非核化めざす 米のもくろみ
■今後の展望
06年10月の核実験は米国の対北韓政策において、重大な転換をもたらした。まず、誤った行動には見返りを与えないという原則に反し、経済的インセンティブを提供する方向へ転換した。また、6者会談を通じた間接対話方式から北韓との直接対話に出るようになった。
だが、最も重大な転換は、核放棄の目標を分離して、初期段階でプルトニウム核能力の除去を優先し、核兵器は次の段階へと持ち越す方向に変わったことだ。
非核化の段階を「閉鎖↓無能力化↓放棄」に分け、それぞれの段階において北韓の関心事項を解決してやることで、それを北韓核問題解決の動力にし、非核化を引き出そうとしている。最終の核放棄段階は、関係の正常化と韓国戦争の公式的終結を意味する平和協定締結を動力とするだろう。
02年に北韓のウラン濃縮を認めた時点から第2次核危機中に核問題解決のフレームとして用意された6者会談は、北韓の核実験と米国の政策転換で重大な岐路に立つようになった。米国の次期政府が、対北韓直接交渉と首脳会談までを視野に置いた政策を標榜する場合、6者会談の有効性は重大な挑戦を受ける。
今後の北韓の核問題は、6者会談より米・北韓の直接対話を中心に展開される可能性が高い。それにもかかわらず、6者会談の効用性は依然として大きい。
北韓情勢の不確実性が高くなった状況で6者会談は、関係国の立場調整と協力を通じて、北韓情勢のソフトランディングが管理可能な効果的なフレームとなりうる。
韓半島の将来 2つの可能性
■結語
今年8月、金正日国防委員長が北韓の創建60周年行事に姿を現さず健康異常説が伝えられる中、今後の北韓体制の行方は国際社会の焦眉の関心事になっている。韓半島の将来とかかわる二つの可能性が提起される。
一つは北韓が核放棄とともに改革・開放を推進してソフトランディングする可能性だ。国際社会の一員になり、南北協力も本格化することによって韓半島は機能主義的に漸進的な南北統合が可能な道へと進むことだ。
もう一つは、北韓が核保有を固執し、国際社会が北韓への支援を減らすことで、資源が枯渇し、体制の不安定が高まり、金正日以後の後継ぎ構図の不確実性によって不安定をもたらす可能性だ。
国際社会の対応如何によっては、核を保有した北韓政権が相当期間持続する可能性も排除することができない。