掲載日 : [2009-04-15] 照会数 : 5227
外国籍の子どもたちに心の支え 「たぶんかフリースクール」
[ 「多文化共生センター東京」代表の王慧槿さん ]
日本語教育や学習サポート
7カ国100人学ぶ
日本語が十分に理解できない外国籍の子どもたちを対象に、日本語や教科の学習支援、高校進学に向けてのさまざまなサポート活動を行っているNPO法人「多文化共生センター東京」(荒川区)代表の王慧槿さん(59)。2005年6月に開設した「たぶんかフリースクール」には、学校に入れない、勉強する場がないといった厳しい環境に置かれた子どもたちが、熱心に学んでいる。
今年、高校を受験した33人の子どもたち全員が合格した。国籍別では韓国、中国、フィリピン、ベトナム、タイなど7カ国におよんだ。1年間を通して、「たぶんかフリースクール」に通うのは、中学生から18歳までの100人以上の子どもたち。特に高校受験目前の1、2月は50人前後の子どもたちが、教室を埋める。
長い受験期を終えた王慧槿さんだが、いつも釈然としない思いを抱えてきた。受験はまず、テストの点数で評価される。だが、来日した子どもたちが、日本人と同じ土俵に立たされるのは、果たして公平なのか。
もともと日本語のハンディを背負いながら、限られた時間のなかで勉強をスタートしなければならない。さらに、来日3年未満の外国籍生徒の特別枠を設けているのは、都立高校では1校だけ。合格できなければ一般入試に挑むしかない。
王さんら関係者たちは、子どもたちを学校につなげる活動を続ける一方で、「日本語指導の必要な子どもたちにチャンスを与え、可能性を広げてあげる責務がある、ということを訴え続けながら活動していきたい」と行政が担うべき役割を指摘しながら、行政とつながることで、より子どもたちの実情に即した支援活動ができないかという道を模索する。
王さんは韓国生まれ。1歳のときに中国人の両親と日本に渡った。中華学校に通った小学校4年生から中学校時代以外は、全て日本の学校で教育を受けた。日本人の友人には分からない、孤立感を感じて生きてきた。横浜市立大学卒業。74年に公立学校教員採用の国籍条項が撤廃され、念願だった教師の道に。29歳で都立高校教員になり、定時制を含め26年間、教壇に立った。
「多文化共生センター東京」は01年に発足。フリースクールは05年に、高校進学を目指す過年度生(義務教育の年齢を超えて外国からきた子どもたち)と、中学生を対象に立ち上げた。学校に通えない子どもたちを対象にした「昼クラス」、日本の学校に通っているが、日本語が不十分な子どもたちを対象にした「日本語・夜クラス」、そして「高校進学サポート」がある。
フリースクールに通っていても、数学や英語に対する苦手意識から高校進学を断念する子どもや、公立高校の受験に失敗し、経済的理由から私立高校を諦めて定時制に通うなど、多くの子どもたちは厳しい環境にある。「勉強だけではなく、精神的なものも支えていかないといけない」
在日教師の協力に期待
王さんは、入学した子どもたちのことも気にとめる。「外国籍の子どもたちが継承していくべき文化とか価値観なりを、お互いに理解していくという教育が大事。だけど日本の学校は平等に教えるという観点が強く、外国籍生徒も日本人も同じように対応している。それ自体が子どもをみない教育でしかない」。もちろん、理解を示す日本人の教師はいるが、まだ少数だという。
そのような状況のなかで王さんは、本名で教育現場に立つ在日同胞教師たちの活躍に触れた。「在日の先生がどういう話をするのか、日本の先生とはやはり違いがある。そういう先生たちが、ニューカマーの子どもたちに対する教育の手助けをしてくれたら」と期待を寄せる。
今月、新学期が始まった。フリースクールを頼って、すでに30人の子どもたちが通っている。
(2009.4.15 民団新聞)