掲載日 : [2009-04-29] 照会数 : 3762
<読書>世界を打ち鳴らせ 旅芸人を支えた父の教え
韓国の伝統的な4種類の民俗打楽器を使って奏でるサムルノリ。今やブリタニカ百科事典にも登場するほど市民権を得ているが、78年に創設したのが金徳洙である。わずか5歳で放浪芸能集団「男寺党」に加わり、末裔として50年間、旅芸人生活を送った半生を綴った。
旅芸人だった父と旅から旅への生活で、まともに学校に行くこともできなかった。友であり、兄であり、師匠であった父は、「読み書きそろばん」のほかに、分かち合うこと、チームワークの大切さを教えた。韓国が誇る芸術性と豊かな響きを世界に広め、東洋と西洋を一つにしたいという目標の原点がここにある。
また、「中心を捉える」という考え方は、幼い頃の綱渡りの練習に生かされただけでなく、半世紀もの公演経験を通じて、その奥深さを痛感させられるものになった。
父から漢字の読み書きを徹底されたことが後日、大いに役立った。初めての海外公演が中学1年生の時の日本だったが、新聞を苦もなく読むことができた。以来、18歳まで毎年半年は日本で巡回公演をした。在日同胞女性を伴侶に選んだのも大きな縁だろう。
軍事政権時代は学生運動を鼓舞する危険な楽器として、押収品目になったが、大統領就任式で演じられたサムルノリは、今や世界の打楽を代表する音になった。
(金徳洙著、岩波書店2800円+税)
℡03(5210)4000
(2009.4.29 民団新聞)