掲載日 : [2009-05-13] 照会数 : 3731
<読書>壬辰戦争 歴史を歴史化する為に
副題は「16世紀日・朝・中の国際戦争」。3国が自国史の立場から「壬辰倭乱」(韓国)、「豊臣秀吉の朝鮮侵略」(日本)、「抗倭援朝」(中国)と呼ぶものを「壬(イム)辰(ジン)戦争」としたのは、主たる戦場が朝鮮であり、勃発年が干支の壬辰年であったことから。
03年からの基礎研究、06年の国際学術会議を経て、韓国、日本、欧米の研究者がまとめ、07年12月に韓国語版で発刊した。執筆者は11人。13章480ページと部厚いが、興味ある部分から入れば読みやすい。当時の東アジア情勢と後に清国を建てるヌルハチを含む3国プラス1の絡みを俯瞰し、総論的に論じるよりは、それぞれの、しかも権力者だけでなく市井の民などの視点・事情を多角的かつ丹念に追うことで全体像を描いた。また、日本が韓国併合に際して「秀吉の記憶」を呼び起こし、韓国が李舜臣を民族主義啓発の柱としたことなど、現代への影響にも分け入った。
韓国人の筆者は「無残な侵略と収奪」は被害者だけでなく、加害者にも深い傷を残すとし、それを治癒するには凄惨な過去を直視すべきだと指摘、壬辰戦争はもちろん植民地時代の歴史も、それに対する記憶の歴史までも歴史化しようとする努力を韓日両国に求めている。まさにこのような観点から読んでもらいたいと思う。
(鄭杜煕・李編著、金文子監訳・小幡倫祐訳、明石書店、6000円+税)
℡03・5818・1171
(2009.5.13 民団新聞)